療育やお勉強は良い状態の時に切り上げよう

先日の児童青年精神医学会で、自閉スペクトラム症児の早期療育における保護者保護者の不安を検討した発表がありました。約2か月前なので記憶が曖昧なのですが、療育をはじめてからお子様が伸びてきた。しかし、もっと療育をやらなければいけないのに、なかなか時間が確保できなかったり、うまくいかない時があると焦りを感じる、といった内容だったと思います。ここでアクセルを踏みすぎてしまうと、親子ともにストレスがかかり、将来の親子関係に悪影響を及ぼしてしまう危険もあります。

今日は、ABA (応用行動分析)という療育手法の2人の先生から聞いたことを紹介します。応用行動分析の基本理論は、以下をご参照ください。

 

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 ABAに基づいた療育の一つに、離散試行型指導法(DTT:Discrete Trial Teaching)というものがあります。例えば、「拍手」を模倣する練習をするとします。療育者が

「パチパチ~」といって、手を叩き子どもができたら、ほめて、すぐに強化子を与えます。強化子とは、簡単にいうと、成功報酬です。お菓子やおもちゃなどを使うことが多いです。お菓子はこまかくしておきすぐに消費できるように、おもちゃは数秒で返してもらい、すぐに次の試行にうつります。お子様がまだ模倣が難しい場合は、プロンプトといって、手伝ってあげ、できたらほめ、失敗を連続させないようにします。プロンプトは最初はしっかりと、徐々に減らしていき、最終的には自力でできることを目指していきます。1回の練習で8~10試行が目安となっています。

前置きが長くなってしまいました・・。ABA-MAXのコンサルタントの上原潤子先生は、うまくいった時こそ、早く切り上げるということを約4年前に聞いた講演でおっしゃっていました。今までできなかった事を成功した時は、たとえ、残り9/10試行あっても、そこで切り上げるようです。子どもも、うまくやるとすぐに勉強から解放されると学習し、その後の療育がかえって効率よくなるようです。保護者心理としてば、うまくいった時は、ついたくさん練習をしたり、もっと難しいことにチャレンジしたくなり、やめる勇気が必要ですよね・・。また、つみきの会というABAの実践を目的とする保護者の会の代表の藤坂龍司先生は、自らのお嬢様に約20年療育を行ってきたのですが、良い状態(成功してほめちぎった状態)で1日の療育を終えることを大事にしてきたといいます。日本には、終わりよければすべて良し、という諺がありますよね。

発達特性の有無にかかわらず、全てのお子さんにとって、お勉強はうまくいっている時こそ早く休憩にする, 1日のお勉強は良い状態で終えるということが、長い目で見ると良さそうですね。