お子様をほめるコツ 【全ての子に使えるほめポイントの見つけ方】

発達支援外来では、まずは保護者の方に、怒らずにほめることから始めましょう、と説明します。しかし、ほめるのが難しい、ほめる部分がない、など厳しい発言が保護者の方から出てくることも少なくありません。今回は、ほめポイントの見つけ方について解説させていただきます。

コツは、

①できなくても努力している事をほめる

② できている時を逃さずにほめる

③ 行動を細かく分ける (スモールステップ化)する

④ さりげなく手伝いできたらほめる などです。

(基本的に③と④は合わせ技で使います)

 

以下、解説

①できなくても努力している事をほめるについて

【例】小学校1年生のS君が、「宿題するのが面倒だなあ」と言いながら、机に向かいました。宿題を始めたものの集中できていないようです。

(解説) これまでなら、「宿題をきちんとやりなさい」と怒っていたでしょう。しかし、下線を引いた箇所が「ほめポイント」です。宿題するのが面倒だなあと言っていたのがは、宿題があるのを覚えていた証拠です。自ら机に向かったこと、宿題を始めたことも大きなほめポイントです。

② できている時を逃さずにほめるについて

【例1】いつもはリビングから出ていくときにドアを開けっ放しの子が閉めた 

【例2】妹を泣かせてしまうことの多いお兄さんが、妹と仲良く遊べていた

(解説)普段できないことができている場合は、逃さずにほめてあげましょう。できている時にほめてもらえずに、出来ていない時は怒られるのは、お子様の立場からすると不条理ですよね。なお、100%できている事はほめる必要はありません。かえって、馬鹿にしているの?と思われてしまいます。

③ 行動を細かく分ける (スモールステップ化)する

【例1】学校に行く準備を、着替え, 食事, 歯磨き, などの行程に分解する。

【例2】洋服を着るを動作を、1)イスに座る、2) 洋服の両端を持つ 3) 頭のうえにかぶる

4)左手を通す 5) 右手を通すなどと分解する 

(解説)スモールステップ化は、お父様も仕事をするにあたり使っているスキルではないかと思います。例えば、あるプロジェクトを企画する時に、いきなりとりかかるのではなく、やるべきことを細かく分解していきますよね (TO DO リストを作りますよね)

これと同じことです。できている部分をみつけてほめてあげましょう。

④ さりげなく手伝いできたらほめる などです。

【例1】プラモデルを作っていたが、ある個所でつまずいていた。その時に、

「この部品はどこに入れるんだろうね~」とさりげなくヒントを出した。それにより、つまずきが解決し、その後は難なく完成した。

【例2】洋服を着るを動作を、1)イスに座る、2) 洋服の両端を持つ 3) 頭のうえにかぶる

4)左手を通す 5) 右手を通すなどと分解する。1)~4) をほぼ手伝いながらも着替えることができた。

(解説) 例1の場合、完成した時に、「手伝ったからね~」など余分なことは言わず、ヨイショしてほめることが大事です。あくまでも自分の力でできたように思わせることが大事です。後は、つまずいているところで、「ここは私がやるは」と言わず、さりげなくヒントを出すことが大事です。お母様がやってしまうと、プライドが高く失敗に弱い自閉スペクトラム症の子は、「どうせ自分はだめなのだ」と自己肯定感が下がり、イライラしてしまいます。繰り返しになりますが、自分の力でできたように思わせることが大事です。このようなさりげない手伝いを、プロンプトと言います。例2では、最初は保護者の方がフルにプロンプトをして、洋服を着たらほめます。日常生活動作のプロンプトには、①身体プロンプト (一緒に身体を動かして手伝う)②視覚プロンプト (指差しや絵カードなどでヒント)③言語プロンプト (例.右手入れて~)があります。強さは、身体プリンプト>視覚プロンプト>言語ポロンプトです。最初は身体プロンプト主体で、徐々に視覚プロンプトや言語プロンプトへ補助レベルを落としていき、採取的には自立を目指します。なお、自立は最後の動作(この例では右手を通す)から目指していきます。理由は、できたという達成感を味わいやすいからです。

 

以上、ほめポイントの見つけ方について解説させていただきました。でも、実際はそう簡単には行かないこともあると思いまし、ほめるのが得意でない保護者の方もいらっしゃるかと思います。こういう時は、遠慮なくご相談ください。一緒に考えていきましょう。