論文紹介:年長児の百日咳による無呼吸発作例

出荷調整となっていた三種混合ワクチンの出荷制限が解除されました。現在、百日咳の感染予防目的で、小学校入学前の接種 (任意つまり自費) が日本小児科学会より推奨されています。接種費用を補助する自治体が徐々に増えており、それに伴い需要が増加し生産が追い付かなくなったとのことでした (海老名, 座間, 綾瀬, 大和は残念ながら、こういった話は出ておりません・・・)。もともと、感染すると重症化するリスクの高い生後6か月未満の乳児への感染を防ぐというのが主目的でしたが、年長児でも感染すると重症となる例もあります。実際に、当院でも、一昨年に、三種混合ワクチンをスケジュール通りに接種していたにもかかわらず、小学校高学年で、入院まではいかなくても、は百日咳に感染し、激しい咳嗽により夜間の睡眠障害をみとめ、長期の出席停止となった児を2例経験しました。

 

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今回は、日本小児感染症学会の学会誌に、重たい症状を認めた年長児の報告がありましたので紹介させていただきます。

石川真紀子.他:10代の百日咳感染による窒息様無呼吸発作に対してフェノバルビタールが奏功した2例. 小児感染免疫 32: 215-219.2020.

 

いずれの症例も、夜間に突然息が吸えなくなり、嘔吐とともに息が吸えるようになるという窒息様無呼吸発作をみとめたため受診しました。1例は入院となっております。

いずれの症例も三種混合ワクチンを4回接種しておりました (4種混合になる前の世代)

 

このように、ワクチン接種歴のある学童でも重症化するリスクがあるので、就学前の3種混合ワクチンの接種を当院でもおすすめしております。