今日は、百日咳についてです。使いまわしではありません。動画を追加し、国立感染症研究所の2019年度のデータを紹介しています。
1.百日咳とは?
・百日咳菌 の産生する毒素 (pertussis toxin :PT) によります
・潜伏期は約7~10日です。
・2018年1月1日から全ての医師が全ての診断例の届出を行う5類全数把握対象疾患へと 変更されました。
・長引く咳嗽を呈し、発作性の咳き込み、吸気性笛声、咳き込み後の
嘔吐をみとめます。
(解説🔦)
発作性の咳き込み (Staccato) :5~10回以上続く、連続的な咳き込み
吸気性笛声 (whoop):大きな努力性吸気が狭くなった声門を通過する音
動画は以下より、見れます。(百聞は一見にしかずです)
Infant girl with whooping cough - YouTube
・症状は、夜間に強く、チアノーゼ、無呼吸、眼瞼浮腫をみとめます。
・生後3カ月未満は重症化しやすく、約50%が無呼吸、1%が痙攣、死亡します。
2.治療
治療はマクロライド系抗菌薬を使いますが、百日咳の症状は毒素によるので、病状改善効果は低いです。しかし、除菌による周囲への感染を防げ、治療開始後5~7日間で菌は陰性となります。中国で、マクロライド耐性百日咳の報告もあるようです。
3.問題点
年長児や成人例が増加しており、重症化しやすい乳児への感染が問題となっています。
ここで、2019年の国立感染症研究所のデータを紹介します。
まずは、百日咳患者15,974人の年齢の内訳ですが、5歳以上15歳未満が63%を占めています。また、一番問題となる重症化しやすい生後6か月未満が5%となっています。
5歳以上15歳未満例のうち、全4回のワクチン接種歴があるのは81%でした。
なぜかというと、ワクチンの効果は4~5年で減弱していくからです。
ここで、重症化しやすい生後6か月未満のデータを紹介します。
4種(3種)混合ワクチンは生後3か月からなので、生後3か月以下は、接種歴のない例(オレンジ)が当然多くなります。日本も生後2か月より接種できるとよいのですが。
感染経路としては、家族内が多く、兄弟からが38%を占めています。
ワクチンの効果が弱まった5~15歳に感染→リスクの高い生後6か月未満に感染が一定の割合で起こっているといえます。こうしたことから、小学校入学前(後)の三種混合ワクチンの追加接種が日本小児科学会より推奨されています。
なお、海外では妊婦さんへの3種混合ワクチン接種などの取り組みも行われています。
いつか紹介させていただきたいと思います。
参考資料