先日、胸の凹んだ状態である漏斗胸について解説させていただきました。今日は、その逆の、胸が飛び出た状態である鳩胸についてお話していきます。
📕 鳩胸の概要
鳩胸の頻度は漏斗胸 (300~1,000人に1人)の1/5~1/10と比較的まれです。
内部の胸部臓器への影響が少なく、自覚症状はあまりありません。
3歳頃と10歳頃に気付かれる事が多いです。
第1型 (下が突出)が最も多く (67%), ついで左右非対称の第3型 (28%), 上が突出した第2型は比較的まれ (5%) です。
📕治療
漏斗胸のように心臓や肺を圧迫することがないので、本当に治療が必要なのが疑問視
されたこともあったようです。以前に (2019年頃)、私が、神奈川県立こども医療センターに紹介したときも、「治療不要」という返信でした。
しかし、美容面で精神的な苦痛を訴える場合もあると思いますし、手術後に身体の調子がよくなって、はじめて術前の症状に気づくこともあります。また、高齢者になると肺気腫になり易いともいわれています。
治療法は、一般的には、手術療法です。変形している肋軟骨を切除します。また、
行っている医療機関はほとんどないかもしれませんが、保存的治療もあります。川崎医大 (岡山県) では、肋軟骨のまだ柔らかい、思春期以前の例で、装具による圧迫療法が。装具は就寝時も含めて1日中、1年程度を目処に使用し評価をしているようです。副作用として、息苦しさ, 圧迫部の蒸れ, 装具の違和感などがあり、よほど強い意志がないと継続は難しいようです。
参考資料
2.吉田 篤史, 他.【外来で役立つ知識:頭頸部・体幹・四肢の疾患】漏斗胸、鳩胸, 小児外科. 2022.54:40-43.
漏斗胸について