今日は、妊娠と抗アレルギー薬についてお話します。現在、スギ花粉の飛散が多く、妊娠中・授乳中のお母様から治療について相談を受けることがしばしばありました。さらに、妊婦さんは、妊娠性鼻炎といって、増加した女性ホルモンによる鼻粘膜血管や自律神経への作用により、鼻閉などの症状悪化を起こす場合があり、例年より症状をきつく感じるかもしれません。
対応としては、
アレルゲン回避→局所療法 (点眼・点鼻) → 経口抗ヒスタミン薬の順に考えていきます。
局所療法 (点眼・点鼻)について
抗ヒスタミン点眼薬やステロイド点鼻薬は、その多くが全身への以降はわすかであり、妊娠や胎児に与える影響はほとんどないと考えられています。
抗ヒスタミンの経口投与について
抗ヒスタミン薬については過去記事をご参照ください
・胎児の器官形成期である12週まではできる限り使用を控えます。
・第2世代の抗ヒスタミン薬を選択します
・第2世代の中では、ロラタジン (クラリチンR)とセチリジン (ジルテックR) の安全性に 関するデータが比較的多く、奇形発生との関連は認められていません
・これらの光学活性体の、デスロラタジン (デザレックスR)やレボセチリジン (ザイザルR)も同様に考えられ、選択しやすいです。
授乳期について
・点眼・点鼻薬は使用可能
・経口投与の場合、ロラタジン (クラリチンR)やフェキソフェナジン (アレグラR) が乳汁中への移行はわずかでした。
(基本的に他の第2世代経口抗ヒスタミン薬の使用も可能です)
参考文献
村岡香代子. 日本医師会雑誌, 148 (2); 2019; 235-239