花粉症によるアレルギー性結膜炎への対応

今日はアレルギー結膜炎の対応についてお話しします。新型コロナばかりが話題になっておりますが、スギ花粉の本格的な飛散が近づいてまいりました。今日は、人によってが、鼻症状よりつらい、眼の症状 (アレルギー性結膜炎)について取り上げていきたいと思います。

 

基本的な治療方針

抗アレルギー点眼薬が基本。点眼薬には、メディエーター遊離抑制作用 (アレルギーに関連する物質の放出を抑制する)を有するものが4種類ヒスタミン作用 (ヒスタミンというアレルギーに関与する物質の受容体をブロックする)を有するものが4種類合計8種類あります。なお、ヒスタミン薬のうち、レボカバスチン以外はメディエーター遊離抑制作用も併せ持ちます

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                             (文献より)

<点眼薬の特徴>

・全身への移行が少ないため、眠気など全身性の副作用が少ない

・小児でも安全に使用できる

・内服薬と比較し高濃度で眼表面に作用 

<点眼薬使用のポイント>

1) 花粉飛散初期の症状がないかあってもごく軽度の時期より治療を開始する

 (=初期療法という)

この理由は以下です。

花粉飛散初期に繰り返される低レベルの抗原(花粉)暴露があると、症状が出てなくても、花粉に対して敏感な状態とないます (=最小持続炎症:minimal persistent inflammation; MPI)。そうなると、花粉飛散量の少ない日でも症状が出るようになります

プライム効果といい。症状の発現に必要な花粉量が1/10~1/100に減少します)

2) 決められた回数で使用しましょう (かゆみ止めとして頓用で使用は×です)

1日4回の抗ヒスタミン薬を処方された1008例を対象とした調査によると、1日4回きちんと使用している人は4%のみでした。この用法を遵守した人は、他の人と比べ、アレルギー性結膜炎による生活の支障度は低いという結果でした。最近発売されたアレジオンLX点眼は1日2回となっており、使用しやすいと思います。

<点眼薬の使い方>

・下まぶたを軽く引き、1滴を確実にいれましょう。(数滴点眼してもあふれるだけ)

・角膜直上(黒眼)に点眼する必要はありません。

・点眼ビンの先が眼に触れないようにしましょう

目薬(点眼液・眼軟膏)の使い方|参天製薬 (santen.co.jp)

・点眼後は拭き取りましょう(そのままにしておくと接触皮膚炎のリスクがあります)

<ステロイド点眼薬について>

・使用は必要最小限にしましょう

・眼圧上昇→緑内障のリスクがあります。(眼圧上昇は自覚症状がなく注意が必要です)

・眼圧上昇を起こしやすいステロイドリスポンダーも存在します

ステロイド点眼による眼圧上昇は成人より小児で頻度が高いです。

ステロイド点眼薬使用時は眼科への定期的な通院が必要

 

セルフケアについて

1) 洗眼

・人工涙液、洗眼型:アレルゲンを眼表面より洗い出します

・冷蔵庫で冷やしたもので洗眼するとクーリング効果による症状緩和が期待できる

2) 眼鏡

・眼表面に飛び込む花粉量を減少させます

・つばのついた帽子をかぶるのも効果があります

3) コンタクトレンズについて

・眼のかゆみゃ充血など症状の強いときは装着を中止しましょう

症状が改善したら1日使い捨てタイプを使用しましょう

・装着時は防腐剤無添加人工涙液で洗顔しながらの使用が推奨されます

(防腐剤がコンタクトレンズに付着したり、まれにレンズが変形することがあります)

アレジオンLX点眼薬は防腐剤フリーのため、点眼薬を装着しながらでも使用可能です

 

参考文献

 高村 悦、アレルギー性結膜炎の点眼治療とセルフケア.アレルギー. 2021.02;70:15-18.