【発達支援】ポジティブ行動を支援し問題行動を減らす

 

 

 ポジティブ行動支援 (Positive Behavior Support)は、応用行動分析をベースにした行動支援です。

 まずは、応用行動分析についてお話しします。応用行動分析は、まずは下記のABC分析を行います。

 人の行動って、ある状況で、ある行動を取り、その後に起きた結果に影響されてくるんですね。良い結果がおこり、その行動が増えることを「強化」、逆に悪い結果が起こり、その行動が減少することを「弱化」といいます。

 

1つ例を挙げてみましょう。

先行事象:朝の準備でドタバタしていつもより家を出るのが遅くなった

行動:1本後の電車に乗った 

結果:(A) 普段の電車より空いていた⇒医学書を読めた

                  子ども達の朝の準備を手伝えた

   (B) 普段の電車より混んでいた⇒医学書を読めなかった

 

(A)の結果が起これば、今度から1本後の電車に乗るようになるでしょう。それが「強化」にあたります。(B)の結果であれば、今度から家を早く出れるように気をつけるでしょう。それが「弱化」にあたります。

(A)のようなポジティブな結果は、先行事象にも注意が向きますし、行動も繰り返されやすくなります。

 

こども達ののぞましい行動を増やすには、先行事象と結果(フィードバック)の両方にアプローチしていきます。

例えば、宿題をやってきたけど、提出できない生徒がいるとします(え?と思うかもしれませんが、発達支援外来アルアルなんです。私もそんな時期がありました。先生があまり反応しないので、提出する意味がよく分からなかったのです。)。先行事象に対してのアプローチだと、「声かけをする」, 結果に対するアプローチだと「ここ最近、ずっと頑張って提出しているね」とフィードバックします。どちらの対するアプローチが欠けても片手落ちになります。

 

ポジティブ行動支援は、ポジティブな支援・指導を増やすことにより、ポジティブな行動を増やしていこうという考えです。それにより問題行動は減少します。なぜなら、ポジティブな行動と問題行動を同時に行うことができないからです。

 

なんだ、ポジティブ行動支援とたいそうな名前がついているけど、応用行動分析と同じじゃん、と思った方もいるでしょう。私も同じで、心の中で「お金と時間を無駄にした」とがっかりしていました。しかし、実際の実践例を聞いてからはワクワクの連続でした。

応用行動分析は、こちら側が相手の行動の変化をコントロールすることを試みることに対して(言い方が悪くてすみません💦)、ポジティブ行動支援は支援者と対象者(学級の生徒全員になる場合もあれば、個別の生徒のなることもあります)の双方向的なやり取りによって成り立ちます

例えば、学級全体を対象とした場合、クラス全員で目標を考えます。なお、講演では、目標とは言わず、ステキな行動、と呼んでいました。そして、1)ステキな行動を生み出すための工夫(先行事象へのアプローチ)2)ステキな行動を記録する具体的な方法 

3) 行動ができていた時にフィードバック(+目標を達成した時のごほうび)(結果へのアプローチ)を皆で考えます。

例えば、体育の後の片付けをステキな行動とした場合、先行事象へのアプローチ:当番の班を決める, 他の人は声をかけたり手伝う, 行動の記録:授業終了のチャイム5分後に先生が確認する、結果へのアプローチ:ほめる, 1ヶ月間きれいだったら、次の1ヶ月感の体育の授業を生徒達でリクエストできる、などなど

 

より詳しく知りたい方は、こちらへ

日本ポジティブ行動支援ネットワーク(APBS Network Japan)とは (pbsjapan.com)

私はさっそく、会員になりました。

 

一般診療やクリニックでも使えないかな~と思案中です。新型コロナの第8波が始まり忙しくなると、私も含めてですが、心の余裕が少なくなってくることに気をつけないといけません。より当院の雰囲気を良くするために取り入れてみたいと思います。