今日は、名著を見つけましたので紹介させていただきます。発達障害の子への言葉かけ事典 (熊仁美, 竹内弓乃共著)です。ADDSという応用行動分析に基づいた療育を提供している会社の代表の方です。
まずは、応用行動分析についてお話しします。応用行動分析は、まずは下記のABC分析を行います。
人の行動って、ある状況で、ある行動を取り、その後に起きた結果に影響されてくるんですね。良い結果がおこり、その行動が増えることを「強化」、逆に悪い結果が起こり、その行動が減少することを「弱化」といいます。
例えば、小学校1年生のR君で、1日15分のタブレット学習をやる約束をご両親としているのですが、集中できずに、動き回り、オモチャで遊んでしまうお子様がいます。
さて、ABC分析から始めてみましょう。
ざっとこんな感じでしょうか?
A (先行事象):ご両親がタブレットをやりなさいと声をかける
B (行動):タブレットにとりかかる
C (結果):集中できない、おもちゃで遊ぶ
お子様の、のぞましい行動を増やすには、先行事象 (A)と結果(C)の両方にアプローチしていきます。
このR君の場合は、
先行事象(A)へのアプローチとしては、
内容が本人にとって難しくないか検討する
おもちゃに注意がいかないよう、おもちゃは目に見えないようにカバーをかける
タブレットの音声指示の前に「注目~」と声をかける
などが考えられます。
結果(C)へのアプローチとしては、
集中できているときは、ほめる+ちょっとしたごほうびをあげる
タブレット学習の後に、本人の好きな活動の時間を用意しておく
などが考えられます。
この本は、お友達に物を貸すことができない, 間違いや失敗に弱いなどのお子様の相談に対して、small stepでわかりやすく解説してくれています。アイデアが満載で支援していくことの引き出しが増えていくことが期待できます。
また、癇癪など問題行動と言われていることだけではなく、自閉スペクトラム症の特性である、「目が合いづらい」「指さしにあまり反応してくれない」といった悩みにたいしてもABC分析を用いていることが私にとっては新鮮でした。
主に電車内で読みましたが、外来で診療しているお子様を思い浮かべつつ、ワクワクしながらあっという間に読んでしまいました😃
支援者の方にもご家族の方にもおすすめの1冊です。