先日、外来で、お母様より、「子どもの頃に日本脳炎ワクチンを接種していなかったので接種をお願いします」と相談をいただきました。実家に帰省した時に、ご自身の母子手帳を眺めていて気付いたようです。
日本脳炎ワクチンの定期接種化は1995年4月ですから、接種していない成人の方は意外と多いのかもしれません。
まず、日本脳炎とは、体内でウイルスが増殖したブタを蚊が吸血し、さらにヒトを刺すことで感染し脳炎を発症する病気です。 ヒトが感染しても「不顕性感染」といって症状が現れずに経過することが大部分ですが、約250人に1人のヒトが発症します。
日本脳炎には特効薬がありません。
発症した場合、
致死率:30% (特に乳幼児や老人)
後遺症(知能、運動障害など):30~50%
とされ、非常に予後は悪いです。
国内のブタちゃんの日本脳炎感染状況は以下です。
神奈川県は1~49%で低いですが、千葉県や静岡では80%以上と高いですね。
また、熊本県もブタちゃんの感染率が高く、先日、亡くなった方が報道されたところでしたね。
発症は稀ですが、発症時の重症化のリスクが高いので、日本脳炎ワクチンは、接種した方が良いとおもいます。
未接種の成人の方には何回接種すれば良いのだろう?と思い調べましたが、
検討したものはありませんでした。
唯一、渡航ワクチンの解説に記載がありました。
著者:福島慎二, 濱田篤郞
雑誌:臨床と微生物, 46 (2), 2019, 111-116
そこには、成人で未接種の方は、アジア諸国へ渡航する場合は、1~4週間で2回接種, 初回接種から6か月以上あけて3回接種と記載がありました。国内のリスクの高い県に行く予定がなければ3回目は1年ほどあけてからでも良いかなと思います。
なお、アジア諸国に渡航する場合に戻りますが、小児期に接種歴があれば1回接種で良いようです。
当院の自費での接種価格は1回につき5,500円です。
小児期の未接種の方で、リスクに備えておきたい方はご検討ください。
私も、小児期に接種はしておりますが、そろそろ免疫が減弱していると思うので、
追加接種をしておこうと思っております。