外来で発達障がいを有する児の、ご兄弟への説明や対応について相談を受けることが度々あります。今回、私が3年前にまとめたものを少し改変し紹介させていただきます
上の子が定型発達児、下の子が自閉スペクトラム症児という設定です。
【きょうだいの心理状況について】
(肯定的な面)
・自閉症児を含めた障がい児への理解や思いやりが深くなる
・自分自身の責任感や自立心が養われる
・自分の将来や職業選択に好影響をもたらす
(悩みについて)
・保護者としては、どうしても障がいを持っている者の方に関心が強くなる
→親の関心を得にくく、親と一緒に過ごす時間が制限され
→不満・不平, 嫉妬やかやの外感を抱く
・保護者としては、叱るときも反応のない本人よりも、理解力のある兄弟姉妹をつい叱 ってしまう→不公平感を感じる
・「いい子」であること「面倒見のいい兄弟姉妹」でいて、無理をしている子も多い
→本当は「寂しい」「甘えたい」
・周囲に自分自身の悩みを打ち明けられずに孤独感を感じる
・児の事を恥ずかしく感じるために、友人や周囲に隠すことによって、自己嫌悪や罪悪感にかられる。
・自分自身の将来 (結婚など)に悩みを感じる
・親が亡くなった後の将来について考え不安が強くなる
【上の子への対応について】
・下の子の特性 (病気ではなく個性)について、発達年齢に応じてわかりやすく説明する
・きょうだい児は、親の児に対する姿勢を見ながら、それをモデルにしてどう対処したらいいかということを考えている
・上の子へもペアレントトレーニングの対応で。あなたのこともしっかり見ているよ・愛しているよというメッセージを伝える。父母が、認める・褒める、の行動で注目を与えてあげて、わかりやすく愛情を示す。褒めなくても、児のことばを反復して返す、行動を言葉にして(実況中継して)注目するなど。短時間であっても効果があると思います。
・落ち着いたら、上の子にも下の子の療育的介入に参加してもらい、上手くお世話してくれたら褒める
【上の子への説明】
○○君は、言葉を話すのが、苦手なの。○○君は、お父さん, お母さんや△△ちゃん (姉)に、「~がしたい」や「楽しい, かなしい」を上手に伝えられずに、どうしていいのか分からなくなってしまうことがあるの。今は、○○君の思っていることを、私達やお友達に伝える練習をするために、まなべ先生や若葉学園に通っているの。△△ちゃん (姉)も一緒にお手伝いしてくれると嬉しいな。
【参考になりそうな記事】
コラム「きょうだい児の理解」
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/tokubetsushien/detail15.html
コラム「きょうだい児と育つ」
https://www.ledex.co.jp/mailmag/20160826
コラム「後回しになりがちなきょうだい児ケア、どうすれば」
https://trilltrill.jp/articles/1057141
ブログ「きょうだい児について」
https://trilltrill.jp/articles/1057141
また、外来には当事者(きょうだい児の方)に手記も置いてあります。
何年か前に成育医療センターに行った際に、置いてあったのをいただいてきました。
【おすすめの本】
1.すずちゃんののうみそ 自閉症スペクトラム(ASD)のすずちゃんの、ママからのおてがみ/竹山美奈子 (著者),三木葉苗,宇野洋太
保育園や幼稚園に置いておきたい一冊です!
2. 光とともに