風疹抗体検査・ワクチン接種~無料で受けられるのは後1年&成人の予防接種記録手帳

前回の記事に追記しました。

追記部分は一番下に示しています。

 今日の話題は、風疹です。こども達は、予防のために、1歳と就学前 (年長)にMRワクチン (麻疹風疹ワクチン)として接種します。しかし、風疹は成人の方を中心に毎年一定数発症していて、さらに妊婦さん→子宮内の赤ちゃんと感染する例も報告されており、問題となっております。今回は、赤ちゃんへの風疹感染と厚労省が2018年12月に決定した対応策について解説いたします、

 

1.風疹とは

風疹ウイルスにより、発熱, 発疹, リンパ節の腫れを主症状とする感染症です。基本的には予後良好ですが、感染力が強く、免疫のない集団においては1人の患者から5~7人に感染します。わが国では、2013年に14, 000例の報告があり、その後は減少傾向ですが、2019年も2,294例の発症が報告されています。

 

  1. 風疹の最大の問題点は先天性風疹症候群 (CRS)

免疫のない妊婦が妊娠20週頃までに感染することで、先天性風疹症候群 (CRS)が引き

起こされます。発生頻度は、妊娠1か月で50%, 2か月で35%, 3か月で18%, 4か月で8%と妊娠初期に感染するほど、リスクがあがります。母親が感染後に不顕性感染といって無症状であっても発生しえます。

 CRSは、先天性心疾患, 難聴, 白内障が3大症状ですが、その他にも症状は多岐にわたり、重度の障害を残すおそれがあります2012~2014年に45例報告され、2015年以降報告はありませんでした。しかし、2019年度は5例報告があり、そのうち1例の母親は不顕性感染でし。

 CRSを予防するためには、女性は妊娠前に2回のワクチン接種が必要です。なお、妊娠中の女性は風疹の予防接種を受けることはできず、また接種前1か月と接種後2カ月は妊娠を避ける必要があります

 

  1. 風疹を排除するには

30代前半~50代前半の男性は風疹の予防接種を受ける機会のなかった人が多く、同年代の女性と比較して抗体保有率は低いです。実際に、2019年度の風疹患者は12月25日の時点で94%が成人で、男性が女性の3.6倍多く、特に30~40代男性に集中していました

こうした状況に対して、厚生労働省は2018年12月に、1962年4月2日~1979年4月1日に生まれた男性を対象に、2019年~2021年までの約3年間の時限措置として風疹の抗体検査と定期接種の実施を決定しました。現在、市区町村から対象者に抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券が配布されていますが、利用率は約30%程度にとどまっております。

 風疹ワクチンの接種は、自分を感染から守るだけでなく、次世代のこども達の未来を守る事にもつながります。クーポン対象の方は、届いたら積極的に利用しましょう。 

 

(以下、追記部分)

2019年4月1日時点での対象の男性人口は男性人口は全国で 1537万4162人です。2020 年 12 月までに抗体検査を受けた人が291万9528人で対象男性人口の 19.0 %のみでした。無料で風疹の抗体検査とワクチンを受けられる期間はあと1年しかありません。風疹を排除するためにもご協力よろしくお願い致します。

 

最後に、成人の予防接種記録手帳を紹介します。

https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/record-nb/Adult_vaccination_record_notebook.pdf

 

参考資料

国立感染症研究所 HPより