【ワクチン】日本ワクチン学会は2022-23インフルエンザワクチン接種を強く推奨

先日、日本ワクチン学会より、今シーズンはインフルエンザワクチンの接種を強く推奨するという発表がありました。昨年の推奨→強く推奨へ変わっております

2022-23 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する日本ワクチン学会の見解 (jsvac.jp)

昨年の推奨は、

teammanabe.hatenablog.com

 

この2年間、全然、流行しなかったじゃないですか~、と思われるかもしれません。確かに、昨年, 一昨年は、コロナとインフルエンザがダブルパンチできたら、医療現場は崩壊する、ならばインフルエンザだけでもできる備えをしておこう、というような意味合いが強かったと思います。

今年は根拠が2つあります。1つは、この冬の北半球の流行予測をする指標となる南半球のオーストラリアで、過去数年で一番インフルエンザが流行していることです。去年はオーストラリア全土でインフルエンザの報告は500件ほどでしたが、今年は4月までの間に5000件以上の報告がありました。例年は5月末か6月末ぐらいから件数が上昇してきましたが、今年は4月末ごろから件数が一気に増え始めているようです。

 

2つ目は、インフルエンザに対する抗体保有率が低くなっていることです(=感染リスクの高い人が多い)理由としては、この2年間でインフルエンザの流行がなかったことが挙げられます。実際に、2021年はRSウイルス感染症の大流行が見られ、本来ならあまり感染しないような4~6歳児にも感染がみられました。これは2020年にRSウイルスに感染したり、免疫が強化される(過去にRSウイルスに感染し、免疫を持っている人は、再びRSウイルスに暴露されることによって、ブースター効果といってさらに免疫が強化されます)機会がなかったからと考えられます。

国立感染症研究によると、2021年の時点で、ワクチン株に対する抗体保有率が全体的に低く注意が必要です。特に0~4歳は、全体的に低いですね。

インフルエンザ抗体保有状況-2021年度速報第2報 (niid.go.jp)

実際にオーストラリアでも小児の感染者が多い状況となっております。

 

では、どのような方に接種が必要でしょうか?

できる限り多くの方に接種していただきたいのですが、日本ワクチン学会によると、

特に接種が推奨される方は、

・65 歳以上の方

・特定の基礎疾患を持つ方
・ 医療従事者、エッセンシャルワーカー
・生後 6 か月以上 5 歳未満の乳幼児
妊娠中の方

とされています。

小児は、感染リスクが高く、熱性痙攣や頻度は稀ですが脳症を起こすなど、重症化のリスクも成人より高いので接種がのぞまれます。

 

ワクチンを接種しても感染しますよね?という質問をよくいただきます。ワクチンの目的は感染予防だけでなく、重症化予防もあります。例えば、65歳以上のデータになってしまいますが、発病阻止は34〜55%でしたが、死亡阻止効果は82%ありました。

(平成 11 年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))

 

接種したくても予約がとれないという意見もよく耳にします。申し訳ありません。これは、少しずつ確保できる本数を増やしているのですが、難しい問題ですね。工夫としては、WHOや米国の指針をふまえ、ご希望の方には、9歳以上は1回接種としております。実際に、私は自分のこども達には幼児期から1回接種にしております。

また、過去ブログもご参照ください

teammanabe.hatenablog.com

 

インフルエンザについても重要な情報は随時upしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。