RSV感染症について

1.RSウイルス (以下RSV) 感染症とは

・乳幼児に肺炎や細気管支炎などを引き起こす最も頻度の高い原因ウイルスです

生後1歳までに半数以上が2歳までにほぼ100%が初感染を受けます

・そのうち30~40%が気管支炎・肺炎に至り、1~3%が重症化し入院を要します

早産児, 先天性心疾患を有する児や生後3ヶ月未満の乳児は重症化しやすいです

流行は、夏頃より始まり、初秋にピークを迎える (高温かつ多湿の条件で流行)

・無呼吸 (乳児期早期) の併発や中耳炎 (主に2歳未満) を合併することがある

 

2.RSV感染後の経過

最初の2~3日はカゼ症状。その後悪化し、3,4日目~7,8日目が症状のピークで、その後、数日~1週間の間に快方に向かいます

受診時の病日と症状・呼吸状態により、今後の見通しについて説明させていただいております。例えば、発症2日目の時点での受診の場合は、今後症状がさらに重くなっていく可能性があります。逆に、発症6日目であればこれから軽快していくことが期待できます)

軽快後も、感冒時に、喘鳴(ゼーゼー)を繰り返すことがあります。

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3.RSV感染症の治療

RSVに対する特効薬はありません

・解熱剤や去痰薬など対症療法を行いながら、自然軽快を待ちます

・元々、気管支喘息を有する児は、気管支拡張薬の吸入やステロイド内服が有効な事が あります。

 

4.RSVの感染様式と拡大防止策

登園目安は、「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」 (保育所における感染症ガイドラインより) 

完全に咳嗽がなくなるまでとすると、いつ登園できるのかわからなくなってしまいます

す。咳嗽がほとんど気にならなくなれば良いと思います。判断に迷う場合は、登園を考える前に受診していただければと思います。

接触感染あるいは飛沫感染により伝播する。

RSVのヒトへの主な感染経路は、眼と鼻である。

・皮膚やテーブルに付着後でも最大8時間生存可能であり、汚染された手により感染が 拡大する

・感染予防には手洗いと手指のアルコール消毒が重要 (アルコールはRSVの感染性を消失させる)

 

以下の状況になったらすぐに再受診をしましょう

・ぐったりして、水分摂取ができなくなった時

・咳き込み嘔吐が目立つとき

・咳嗽により眠れなくなった時

・呼吸が苦しそうな時 (呼吸数が増え、右図のような呼吸)

   連日、裸の状態で呼吸を観察していくと変化がわかりやすいです

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