生後2カ月より定期ワクチン接種が始まります。これまで、初回の接種時に口頭で丁寧に説明させていただいておりましたが、書面でも作成することにしました。それにあたり論文をいくつか読みましたので、紹介させていただきます。
(書面は来週中に完成すればいいな)
論文1:乳幼児におけるワクチン同時接種の安全性の検討
筆頭著者:廣原俊昭 (三重県小児科医会予防接種委員会)
雑誌:日小医会報, 48, 121-123, 2014年
【どんな研究?】
同時接種の安全性について検討する目的で行われました。接種後28日までの発熱, けいれん, 接種部位の発赤 (赤くなる) , 硬結 (硬くなる), 腫脹 (はれる) について調査しています。
【対象は?】
2010年10月~2011年7月までに単独または同時接種をうけた小児のべ1,219人。1歳未満865人 (71%)。1種類の接種147人(12.1%), 2種類の接種853人(70%), 3種類の接種203人 (16.7%), 4種類の接種16人 (0.1%)でした。(=約88%が同時接種)
【主要な結果】
・発熱を認めたのは、111人 (9.1%)
・発熱の時期は、0~2日が79人 (71.2%), 3~7日が19人 (17.1%)
・ワクチンの接種本数と発熱の関係は、1本7.5%, 2本9.4%, 3本9.4%, 4本6.3%
・肺炎球菌ワクチンを含む場合の発熱率は96/867人 (11.1%)に対し、含まない場合は 15/448人 (3.3%)
・肺炎球菌ワクチンを含むワクチンの接種本数による発熱率は、肺炎球菌単独では、
8/77人 (10.4%)に対し、肺炎球菌+αでは88/790人 (11.1%)
・接種部位の発赤, 腫脹, 硬結は、肺炎球菌接種部位が114/867人 (13.1%), Hib 99/1024人
(9.7%), 3種混合ワクチン34/487 (7.0%) であった。
【分かった事】
・乳児のワクチンの同時接種は、約11%に発熱をみとめる。
・発熱出現は、接種本数ではなく、肺炎球菌ワクチンの有無が最も影響している。
・接種部位の皮膚の発赤や腫脹は10%強に起こる。