アデノウイルス感染症とその対応

今日は、大流行とまではいきませんが、1人/週の頻度で認めている、アデノウイルス感染症について解説します。

 

📕 アデノウイルスってどんなウイルス?

・1953年にヒトのアデノイド組織 (咽頭扁桃)より発見されたことより命名

・1~67までの型があり、多彩な症状をきたす。

年間を通じて検出されるが、5月後半より急増し,7月頃にピーク

症状と迅速診断キットにより診断可能である (第2-5病日の検査で90%以上の陽性率)

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📕 どんな症状が出るの?~ 感染臓器により異なります。

1.咽頭炎, 扁桃腺炎, 咽頭結膜炎 (プール熱)

 潜伏期は5~8日間で、プール以外の場所でも感染する

 発熱, 喉の痛み, 鼻汁, 頭痛, 眼の充血, 眼脂などを呈する。

 ・発熱は39度以上の高熱が、3-5日程度続くが、1週間以上続くこともある。

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2.流行性角結膜炎

 ・潜伏期は7~14日で、両眼発症例が多いが、一眼は数日遅れて発症する。

 軽症のことが多い

 ・2週間程度で軽快する

3.胃腸炎

・発熱, 嘔吐, 下痢など。下痢は水様性で8~12日間程度持続する。

4.出血性膀胱炎

 ・肉眼的(目で確認できるほどの)血尿を呈するが、元気で発熱のないこともある。

 ・肉眼的血尿は平均3日ほどで、一般的に腎機能障害は呈さない。

 

📕治療法や出席停止期間は?

アデノウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、抗菌薬の内服は不要

    (ウイルスに抗菌薬は効果ありません)

・通常は予後良好の疾患であり、解熱薬, 水分補給, 点眼薬などの対症療法を行う

発熱が続き、ぐったりして水分が取れない場合は、点滴を要する可能性があるため、再受診しましょう。

登校停止期間:主な症状がなくなった後2日を経過するまで

 

📕感染対策は?

・感染力は強く、飛沫・接触感染により感染し、テーブルなど環境表面でも10日以上感染力を保持する

アルコール消毒の効果は乏しく、石鹸と流水でしっかり手洗いする

・汚染物品の消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効