新型コロナ~小児の特徴と差別対策

この前の木曜日はWebで小児感染症学会を視聴しました。このなかから2つ紹介します。

1つ目は、国内におけるCOVID-19の特徴についてです。2020年10月14日現在、20歳未満は、6,852/89,351名 (8.4%), 10歳未満に限定すると2.5%である。全年齢と同様に、報告数は2峰性(現在は3峰性でしょうか)を示しており、27週 (7月後半)より、無症状の割合が増えている。

日本小児科学会では、会員で有志でネットワークを形成し、症例を登録しており、これまで537例が登録された。これは国内の症例の約7.8%である。感染経路が判明している例のうち、家族内感染が77% (主に父)、幼稚園/保育園(保育士含む)8%, 学校 5% (教員含む)であった。一斉休校が解除された7月以降でも感染経路は家族84%, 幼稚園/保育園 2%, 学校6%と同様であった。これは、休校による予防効果にが限界があること、大人→子どもへの感染が多いことを示している。

感染後の経過は、登録された症例は入院例がほとんどであるが、ICU管理を要した重症例は1歳未満0.4%, 1~4歳 1例の0.4%であった。87%は無症状で軽快しており、死亡例の報告はない。厚労省の報告でも小児の死亡例の報告はなく、海外では重症例4.4%, 最重症0.9%, 死亡例0.1%である。

2つ目は、北陸地方の小児科の先生が新型コロナ感染症の偏見・差別対策に取り組んだお話でした。学校で数名の生徒が発生した時に、まずは学校側に、対策専門の病院ですらクラスターが発生している、学校が責任を感じ謝罪する必要はない、バックアップするということを話したようです。同時に、陽性例すべてのご家族と情報を交換したようです。報道で個人情報がさらされる, 周囲の目があり外出できない, 微熱があったのに登校したと虚偽の情報がながされた, いじめへの不安があり転校を考えているなど不安でいっぱいであったようです。その後、演者の先生と学校が力を合わせて、こども達は問題なく復学できたようです。

演者の先生はその後、各学校を個別に訪問し差別対策についてお話ししたようです。

さらに教育委員会の依頼を受け、感染対策や保護者への説明など取り組みました。根拠のある感染対策に基づいたうえで、フェイスシールドやついたての廃止, 部活動の再開など、子ども達が以前に日常が戻るよう取り組みました。実際に、こうした取り組みの後に感染者は増加しておりません。

最後に、新型コロナが、病態以外の問題からこども達を守ることについても、小児科医が積極的に関与する必要があると、締めくくられました。

 

(コメント)

子どもは休校により得られる感染予防のメリットよりも、精神的不安定などデメリットの方が大きそうですね。先日、文科省より、緊急事態宣言でも一斉休校はしないというコメントがあり、安心しました。「緊急事態宣言でも一斉休校せず」  萩生田文科相 共通テストも「予定通り」(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

北陸の先生の取り組みには刺激を受けました。当院では、新型コロナウイルス感染症の児の経験はありませんが、今後、対応した場合は、病状だけでなく、家族の不安や子どもの精神状態のフォローにも関わっていこうと思いました。