カゼ予防について:病原体の感染経路

今日から新型コロナやインフルエンザを含めたカゼ全般の予防についてお話ししていきます。予防策を行う前提として、ウイルスの感染経路について理解しておかないといけません。今日は、病原体の感染経路について解説し、次回以降は、「うがい」「手洗い」「マスク」の各論について触れさせていただきます。

 

病原体の感染経路には、接触感染, 飛沫感染, 空気感染があります (図1) 。

接触感染は、吐物, 手指や器具を介して間接的に鼻・口・消化管などの粘膜に到達することにより感染を引き起こします。それに対して、飛沫感染は、咳嗽やくしゃみにより飛び散る細かい水滴 (これを飛沫と言います) が、数秒から数分かけて、1m程度飛散し、鼻, 口, 喉などの粘膜に直接的に到達することで引き起こされます。空気感染は、飛沫核という飛沫の水分が蒸発した小さな粒子を吸い込むことで起こります。飛沫核は水分がないため軽く、長時間空気中に浮遊し、しかも遠くまで飛んでいきます。そのため、感染した人から距離をとっていても、感染する可能性があります。

空気感染は麻疹, 水痘や結核などの病原体に限られるので、一般的なかぜ予防には接触感染と飛沫感染を考えます。

つまり、飛沫を拡散させない「マスク着用」, 口・喉の粘膜や手指に付着した微生物を洗い流す「うがい」や「手洗い」はカゼ予防に有効であることが想像できるかと思います。

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感染経路