【発達支援】外来でこども達の答案より感じたこと

発達支援外来では、お勉強に関する相談を受けることもしばしばあります。

これは学校の先生のお仕事ではと思いつつも、アドバイスできる場合もありますので、

丁寧に確認させていただいております。

答案をみせていただくのですが、驚いた事に、最初に書いた式や答えが消されて、正しい答えが書き直されてしまっています。学校の先生の指導のようなのですが、これではどうして間違えたのかが分かりません。正解がどうかよりも思考のプロセスが大事なのに・・・。こども達が点数だけを気にするようになってしまい、間違いに対する抵抗感が強くなってしまうかもしれません。そうなると、難しいことにはチャレンジしなくなってしまうことも懸念されます (難しい問題だと点数が取れない→評価してもらえない)

海外では子どものうちからボールペンを使用しているようです。

www.gqjapan.jp

 余計なお節介かもしれませんが、何らかの形で地域の教育委員会に要望していきたいなと思います。

 最後に、学校の先生や保護者の方には、1) 点数を評価するのではなく、毎日学習に取り組んでいることを評価する、2) 間違えてもやり直せば大丈夫(安心して失敗できる環境作り)  を意識していただけると嬉しく思います。

 

ACイラストよりダウンロード



 

【再投稿】座間神社のごりやく

これから受験シーズンが本格的に始まりますが、保護者の方の中には、神社に行き、合格祈願をする方も少なくないかなと思います。

私の実家は、私の受験以来、「座間神社」に参拝するようになりました。

武相総鎮護 座間神社|人生儀礼のご祈祷・結婚式・七五三 (zamajinja.or.jp)

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武相総鎮護 座間神社|人生儀礼のご祈祷・結婚式・七五三 (zamajinja.or.jp)より引用

私が1浪の時です。医学部の受験にことごとく失敗しておりました。確か10連敗ぐらいだったかな?医学部は1次試験で約2000人から約300人に絞り、2次試験で約100人が合格となります。大手予備校の模擬試験では合格圏内だったはずの大学ですら、1次試験さえも通らず、2浪は確定だなと思っておりました。こうした状況の2月20日頃、3月1日に試験のある埼玉医大を受験するように頼まれました。私は当初、学歴を気にする人間だったので、拒否しましたが、父の「とりあえず受けてくれ。来年に向けて実力も測れるだろう。頼む!」という気迫に負け、腕試しの気持ちで受験することとなりました。

そして1次試験。苦手な数学が例年よりずっと難しく、生物も難しくて途中でやる気をなくし寝てしまいました。これは落ちたかなと思ったら、予想外の合格。その約1週間後の2次試験は小論文と面接。小論文が「人の死について」という難しいテーマでした。当然、書けるはずはなく未完成で面接にのぞむことになりました。面接の時に、小論文について「最後まで書けていないけどどういうこと?」と突っ込まれたましたが。「これは今の私には書けない難しいテーマです、入学させていただけたら6年間かけてじっくり考えていきたいと思います」と答えたら、面接官の先生方は全員大爆笑で、終始なごやかな雰囲気で終わりました。こりゃ、絶対の落ちたなと思い、私は「合格発表を見に行かなくてもよい」と言ってましたが、父が「万が一のこともある」と言って、母を見に行かせたら、なんと予想外の正規合格でした。後で、聞いた話では、1次試験の比重が高かったようです。大学入学後、最初の正月の初詣で、いつも行く、名のある○○神社に行かず、座間神社に向かったので、理由を確認したところ、そこで初めて、父が座間神社で私の合格を神様にお願いしていたという事を知りました。

先日、某製薬会社のMRさんより、「前任者のNさんが私の話を聞いて、座間神社でお嬢様の大学受験を祈願したら、無事に第1志望に合格できた、と喜んでいた。」という話を聞きました。

合格は、私やNさんのお嬢様の努力によるものが大きいですが、座間神社は、受験関連では穴場的なパワースポットかもしれません。

【本の紹介】子どものこころの薬ガイド

 先日、「親の疑問に答える 子どものこころの薬ガイド (著者:岡田俊)」 という本を読みました。保護者の方を対象にかかれた本です。

 

https://www.amazon.co.jp/%E8%A6%AA%E3%81%AE%E7%96%91%E5%95%8F%E3%81%AB%E7%AD%94%E3%81%88%E3%82%8B-%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E8%96%AC%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-%E5%B2%A1%E7%94%B0-%E4%BF%8A/dp/4535984786

 

 Q.子どもにどう説明したらよいですか?, Q.薬を飲んでいることは学校にも話したほうがよいのでしょうか?など外来で比較的頻度の多いと思われる質問に専門家の岡田先生がとても丁寧にかつわかりやすく回答してくださっております。

 医師から薬の話しをされたけど迷っていた方, 医師からまだ話はないが、お子様に薬は必要かもと考えている方, 薬を開始したものの服薬に不安のある方など、色々な状況の方がいらっしゃるかと思いますが、どの方にとってもおすすめの1冊です。

 私自身、最近では、抗ADHD薬や抗精神病薬の処方のハードルが下がってきておりますが、薬物療法を開始後も、保護者や本人の気持ちや疑問もしっかり確認していかなければ、と気が引き締まりました。

 クリニックの本棚に入れておきますね。

 

両親の新型コロナワクチン接種は乳幼児の入院リスクを下げる

当院ではすべての小児に新型コロナワクチンの接種を推奨しておりますが、特に

5歳未満の接種がなかなか進んでおりません (全国的な傾向です)

それならばせめて周囲の人は接種しておきましょう、ということを言いたく、フランスからの論文を紹介させていただきます。

 

論文:Analysis of COVID-19 Vaccination Status Among Parents of Hospitalized Children Younger Than 5 Years With SARS-CoV-2 Infection During the Delta and Omicron Waves

筆頭著者:Florie Solignac

雑誌:JAMA Netw Open. 2022 Nov 1;5(11):e2242295

Analysis of COVID-19 Vaccination Status Among Parents of Hospitalized Children Younger Than 5 Years With SARS-CoV-2 Infection During the Delta and Omicron Waves - PubMed (nih.gov)

 

2021/5/12~2022/2/14の期間に入院した599例のうち、両親の新型コロナワクチン接種歴が明らかでかつ5歳未満であった163例を対象としています。

 

デルタ株の流行期に入院した63名は、1歳未満が47名 (75%)で、10名 (16%)がICUでの治療を要しました。両親がいずれもワクチン接種をしていなかった場合と比較して、両親のいずれかがワクチン接種していた場合の入院リスク (95%信頼区間) は、0.03 (0.02-0.06)でした。

 

オミクロン株の流行期に入院した94名は、1歳未満が73名 (75%)で、8名 (9%)がICUでの治療を要しました。両親がいずれもワクチン接種をしていなかった場合と比較して、両親のいずれかがワクチン接種していた場合の入院リスク (95%信頼区間) は、0.21 (0.14-0.33)でした。

 

文献より作成

5歳未満は園での感染リスクもあるかもしれませんが、保護者が接種することで、

入院リスクを低下させることができます。現在流行中のオミクロン株は、従来株のワクチンでは効果が弱く、また半年ほどで効果が減弱します。お子様を重症化のリスクから守るためにも、オミクロンBA・5を含む2価ワクチンに追加接種をお願いします。

2023年春 スギ花粉飛散予測

そろそろ恐怖のスギ花粉のシーズンが近づいてきました。外来で、舌下免疫療法中の方より、「今年のスギ花粉はどうですか?」と質問をいただくことが増えてきました。

 

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スギ花粉

日本気象協会の予測を紹介します。(2022年12月8日発表)

2023年 春の花粉飛散予測(第2報) - 日本気象協会 tenki.jp

 

1.飛散開始日

例年並み東京は2月11日~と予想されています。注意すべき事は、花粉の飛散開始日の定義は、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日連続して観測した場合の最初の日とされています。つまり、飛散開始日より前にわずかな量が飛び始めます。重症の方は、目のかゆみなど症状を訴える可能性があります。神奈川では2月に入ったら花粉対策を始めるのが無難と思います。

https://tenki.jp/pollen/expectation/より引用

2.花粉の飛散量

(1) 例年と比較して

神奈川は非常に多い (200%以上) と予想されています。

(2) 昨年と比較して

神奈川は非常に多い (200%以上) と予想されています。

 

 花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は花芽が多く形成され、翌春の飛散量が多くなるといわれています。

2022年は6月に「高温・多照・少雨」となり、スギの花芽形成に好条件でした。

https://tenki.jp/pollen/expectation/より引用

今年が舌下免疫療法の効果を評価しやすいかもしれないですね (昨年度は飛散量が少なく、症状が落ちついていたとしても、治療効果なのか、飛散量が少なかったためなのか、判断が難しかったです)  

 

【You tube 新作】新型コロナウイルス感染時の療養期間と濃厚接触者の待機期間について

 新型コロナウイルス感染症と診断された後の療養期間と同居のご家族の待機期間について、動画を作成しました。これまで看護師さんが、検査で陽性であった方への説明で時間を要し、外来が停滞し、結果として待ち時間が長くなってしまうことがあったからです。今後、学校が始まると新型コロナとインフルエンザの両方の感染拡大が危惧されます。その状況に対応していくために緊急で動画を作成しました。

youtu.be

動画の内容を紹介していきます。

 

(補足)  新型コロナ陽性者登録窓口について。当院で診断された方は、宿泊療養施設の希望がなければ、登録するメリットはあまりありません。医療機関を未受診&自宅で抗原検査をして「陽性」が確認された場合は、登録しておくと良いかと思います。登録し、番号が発行されると、療養期間中は公費で診療を受けることができます。番号の発行には約1日かかるようです。

新型コロナ 陽性者登録窓口について - 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

 

 (補足)  お子様が発症したケースを想定します。1ヶ月前にお父さんが発症しているんですけど、この場合、お父さんは濃厚接触者となるのでしょうか?というような質問をいただくことが増えてきました。これは、なかなか難しい質問です。以下に私の考えを記載させていただきます。都内の変異株のモニタリング(Microsoft PowerPoint - 20230105ㅢㅉㇿㅪㅳㇰä¼ıè (tokyo.lg.jp)) によると、夏の第7波の中心であった、オミクロンBA.5の割合は、10月の時点で約90%であったのが、11月約74%, 12月には約63%と低下してきております。その他の変異株が約4割を占めております。変異株の中で、抜き出た存在はなく、日本の戦国時代のような、群雄割拠状態です。つまり、1ヶ月前のお父様がBA.5、今回のお子様が他の変異株(BQ.1など)の可能性もありえます。従って、今回の対応として、お父様も濃厚接触者として対応。無症状かつ2,3日目に抗原検査をして、「陰性」であったら解除が無難と思います。下図の濃厚接触者(待機期間の早期解除) に基づいた対応となります。

 

 

 

【更新】新型コロナウイルス感染症による小児の死亡例について

  先日 (12月28日)に国立感染症研究所より、新型コロナウイルス感染症による20歳未満の第2報が報告されましたので共有させていただきます。

 新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第二報) (niid.go.jp)

 前回の第1報についてのブログ記事は↓↓

teammanabe.hatenablog.com

 

今回は、2022年1月1日~9月20日の期間での新型コロナウイルス感染後の死亡例についてです。計62例 (8/31までの第1報41例を含む) で、オミクロンBA・5の流行期の疫学週2022年28週(7月11日~7月17日)から増加を認め、33週(8月15日~8月21日)が最も多く報告されました。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-cfeir/11727-20.htmlより引用

 

 

下表は詳細が明らかで、かつ内因性死亡 (事故などではない死亡)と判断された50例の

臨床的特徴です。

 

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-cfeir/11727-20.htmlより引用

①年齢と基礎疾患の有無

これだと少しざっくりしているので、年齢を細かくみると、下図のようになります。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-cfeir/11727-20.htmlより作成

当時ワクチンの接種対象になっていなかった4歳以下や接種率の低い5~11歳に多いですね。基礎疾患のない方が約半数いたことにも留意する必要があります。

 

②死亡に至る原因について

死亡例としては、循環器系の異常 (心筋炎, 不整脈), 中枢神経系の異常(急性脳症)

が多いという特徴があります。さらに、基礎疾患ありの方は呼吸器系の異常 (肺炎)が原因でなくなることも少なくないようです。

③発症から死亡までの日数について

発症から死亡までの中央値が3日 (基礎疾患あるの方に限定すると2日) と急激な経過をたどることが明らかにされました。

 

新型コロナウイルス感染症は、頻度は少ないですが、基礎疾患のないお子様でも、あっという間に重症化するリスクがあります。新型コロナワクチンを接種しても感染する可能性はありますが、ワクチンにより重症化予防効果は期待できます。後で「接種しておけばよかった」と後悔しないためにも、私としては「全ての年齢層の小児への新型コロナワクチンの接種を推奨」しております。