座間市が児童発達支援センターを開設

昨日の朝日新聞に、座間市発達の遅れや障害のある子ども達を支援する「児童発達支援センター」を2023年4月に開設するという記事が掲載されていました。

昨年10月に市長に就任した佐藤みと市長の公約で、座間市立生きがいセンターを改修し開設するようです。

 

座間市立 生きがいセンター(神奈川県座間市小松原/福祉施設) - Yahoo!ロコ

少し、アクセスの難しい場所ですね。

 

役割として、

・こども達が日常生活の基本的な動作や手段生活への適応訓練などを受け、家族が安心して子育てできるように支援する

・地域の中核的な支援機関として、市内の障害児通所施設の12事業所に助言するなど連携を図り、0~18歳までの一貫した支援体制を作る

としているようです。

 

0~18歳までの一貫した支援体制というのも良いですね。就学前とそれ以降で分けられてしまっている場合も少なくありません。

なお、当院も、診療の特色として、「進学・就労まで考えた、一貫した長期的な支援」を挙げております。発達相談|まなべ小児科クリニック 小児科・アレルギー科・小児呼吸器 (manabe-shounika.jp)

 

座間市は今後、就労(訓練)施設やグループホームの展開まで見据えているのでしょうか?今後が楽しみです。

 

私は診療で手一杯となっているくせに、とても刺激になり、「俺も、いつかは必ず・・・」と思いました。でも、焦らずに、1歩1歩前進していこうと思います。

ウイルス性胃腸炎の食事療法

当院では、毎週、1週間で診療した感染症の患者数を報告しております (インフルエンザ, アデノウイルス, RSウイルス, 溶連菌, 水痘など)

感染症情報 (manabe-shounika.jp)

ウイルス性胃腸炎の患者数が比較的高い推移で続いておりますが、乳幼児中心→学童中心にシフトしてきております。

 

今日は、当院で配布している資料+αを紹介します。

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 参考資料:小林昭夫:下痢症と食事. 小児科臨床57:2555~2560, 2004

 

その他、

・母乳栄養児は母乳を継続してよい

・人工乳はうすめなくてもよい

経口補水液は、OS-1, アクアライトが良い (小腸からの水分吸収に優れる)

・お粥が苦手なら白米でOK

 

参考資料:Imai Y et al:Impact of Osmolality of Oral Rehydration Solution on Water Absorption by Rat Small Intestine. Pediatr Nephrol 22:1523, 2007

Guandalini S. Treatment of acute diarrhea in the new millennium. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2000 May;30(5):486-9.

子どもの突然の電池切れはどのように対応していますか?

お子様 (特に男の子)が夕食後に走り回っていたと思ったら突然リビングで寝てしまったということはあるかなと思います。我が家でも時々あります。歯磨きやお風呂がまだ終わってなかったら憂鬱になりますよね。私はまずは、体をゆすったりくすぐったりする、DisneyのDVDを流すなどしてみます。これで起きれば運がいいです。その次の段階としては、冷凍庫から保冷剤を出してきて頬に当てます。これで半分ぐらいは起きますが、保冷剤合戦が展開されます😓 これでダメな場合は、強引に歯磨きをし (ここで起きることもあり)、体をタオルで拭いて寝かせていました。しかし、先日、外で汚れるほど遊んだ日に限って、電池切れが起きてしまいました。何をしても起きませんが、お風呂にだけは入れたい状況でした。意を決して、裸にして抱っこしながら、浴槽に入ったら、ぱちりと何事もなかったかのように目を開け、怒ることなく復活してくれました。でも、この方法は、寝起きに浴槽で暴れると危険なので避けた方がいいなと振り返って思いました。一番の対応策は、電池切れを起こす前に、入浴と歯磨きを終えておくことかなと思います。あるいは、ま、iいっかと広い心を持つか・・・。皆様はお子様の突然の電池切れにどのようにアプローチしていますか?面白い方法があったら外来の時に教えてくださいね。今週もよろしくお願い致します。

 

 

 

全てが中途半端にならないように・・・

今週末もWebで講演を視聴し勉強しております、今週は「構音障害(発音の問題)への気づきと指導」「学習障害のある児童生徒への英語指導」各50分×3コマを受講しました。

構音障害(発音の問題)への気づきと指導」は途中でついていけず挫折しました。

理論が難しく、今の外来状況では実施も現実的でないことから断念しました。構音障害は言語聴覚士でないと難しいかな。悔しいですが、どんなものかわかっただけでも収穫があったと思いますしいつか再挑戦してみたいと思います。

学習障害のある児童生徒への英語指導」は、大変勉強になりました。ディスレクシア(読字障害)で当院を通院している子が、授業で英語は始まった時に、スムーズにお手伝いできるよう準備していきたいと思います。日本における英語教育の問題がよくわかりました。これはいつか解説していきたいと思います。

ここのところ、勉強したい気持ちを抑えきれず、色々な分野に手を出してしまっています。全てが中途半端になってしまうリスクがあるので、しっかりと軸を定めないといけない。今年は、ビジョントレーニングを含めた学習障害の診療を主目標と決め、より質の高い診療を提供できるよう頑張っていきたいと思います。

論文紹介:乳児におけるワクチン同時接種の副反応 (2)

昨日に続いて論文を紹介します。

論文2.乳児に対する不活化ワクチンの同時接種の有害事象に関する検討

筆頭著者:大谷清孝

雑誌:日農医師, 64 (5), 798~807 2016年

 

【どんな研究?】

2012年7月~2013年の6月にワクチンを接種した乳児の接種後7日内の発熱 (37.5度以上),

体温の推移,皮膚の発赤, 腫脹, 硬結 (1cm以上)などを調査しました。単独接種した29名 (46回)同時接種した31名 (42回)で比較しました。

【主な結果】

・発熱 (37.5度以上)は、単独接種6/46 (13%)に対し、同時接種9/42 (21%)     

・皮膚の発赤 (赤くなる)は、単独接種12/46 (26%)に対し、同時接種9/42 (21%)

・皮膚の硬結 (硬くなる)は、単独接種3/46 (7%)に対し、同時接種8/42 (19%) 

※いずれも統計学的な有意差はなし

同時接種の方が、接種2日目の体温が高い (統計学的な有意差あり)

 でも、わずかな差ですね。図で見るとせいぜい0.2度ぐらい?

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   (文献より引用)

 

【分かった事・考察】

・同時接種による、発熱、皮膚の発赤の頻度は約20% 

昨日紹介した論文より、その頻度が多い理由は、症例数の違い, 乳児に限定している  からなどが考えられる。

 

teammanabe.hatenablog.com

同時接種により、発熱や皮膚の発赤や硬結のリスクは上がらない

・同時接種群の方が、接種2日目の体温が高いが、気にするほどの差はない

 

 論文3:乳児期における同時複数接種と単独接種後の発熱の頻度の検討

筆頭著者:泉田直己

雑誌:小児科臨床, 69, 461-466, 2016年

 

乳児期に、DPT (3種混合), Hib, PCV (肺炎球菌), IPV(不活化ポリオ), ロタウイルスワクチンのいずれかを接種した乳児2,227件を対象。接種2日以内の発熱の頻度を単独接種と同時接種で比較した。

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また、発熱の頻度は、肺炎球菌を含む場合67/715人 (9.4%)に対して、含まない場合2/126人(1.6%)で、肺炎球菌を含む場合に発熱のリスクが6.4倍上昇しておりました。

一見すると複数接種により、発熱の頻度が上昇するように見えますが、肺炎球菌ワクチンにより、そのように見えるだけといえます。

 

 

 

論文紹介:乳児におけるワクチン同時接種の副反応 (1)

生後2カ月より定期ワクチン接種が始まります。これまで、初回の接種時に口頭で丁寧に説明させていただいておりましたが、書面でも作成することにしました。それにあたり論文をいくつか読みましたので、紹介させていただきます。

(書面は来週中に完成すればいいな)

 

論文1:乳幼児におけるワクチン同時接種の安全性の検討

筆頭著者:廣原俊昭 (三重県小児科医会予防接種委員会)

雑誌:日小医会報, 48, 121-123, 2014年

【どんな研究?】

同時接種の安全性について検討する目的で行われました。接種後28日までの発熱, けいれん, 接種部位の発赤 (赤くなる) , 硬結 (硬くなる), 腫脹 (はれる) について調査しています。

【対象は?】

2010年10月~2011年7月までに単独または同時接種をうけた小児のべ1,219人1歳未満865人 (71%)。1種類の接種147人(12.1%), 2種類の接種853人(70%), 3種類の接種203人 (16.7%), 4種類の接種16人 (0.1%)でした。(=約88%が同時接種) 

【主要な結果】

発熱を認めたのは、111人 (9.1%)  

発熱の時期は、0~2日が79人 (71.2%), 3~7日が19人 (17.1%)  

・ワクチンの接種本数と発熱の関係は、1本7.5%, 2本9.4%, 3本9.4%, 4本6.3% 

肺炎球菌ワクチン含む場合の発熱率は96/867人 (11.1%)に対し、含まない場合は         15/448人 (3.3%)

・肺炎球菌ワクチンを含むワクチンの接種本数による発熱率は、肺炎球菌単独では、

8/77人 (10.4%)に対し、肺炎球菌+αでは88/790人 (11.1%)  

・接種部位の発赤, 腫脹, 硬結は、肺炎球菌接種部位が114/867人 (13.1%), Hib 99/1024人

  (9.7%), 3種混合ワクチン34/487 (7.0%) であった。

【分かった事】

・乳児のワクチンの同時接種は、約11%に発熱をみとめる。

・発熱出現は、接種本数ではなく、肺炎球菌ワクチンの有無が最も影響している。

・接種部位の皮膚の発赤や腫脹は10%強に起こる。

 

 

アデノウイルス感染症とその対応

今日は、大流行とまではいきませんが、1人/週の頻度で認めている、アデノウイルス感染症について解説します。

 

📕 アデノウイルスってどんなウイルス?

・1953年にヒトのアデノイド組織 (咽頭扁桃)より発見されたことより命名

・1~67までの型があり、多彩な症状をきたす。

年間を通じて検出されるが、5月後半より急増し,7月頃にピーク

症状と迅速診断キットにより診断可能である (第2-5病日の検査で90%以上の陽性率)

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📕 どんな症状が出るの?~ 感染臓器により異なります。

1.咽頭炎, 扁桃腺炎, 咽頭結膜炎 (プール熱)

 潜伏期は5~8日間で、プール以外の場所でも感染する

 発熱, 喉の痛み, 鼻汁, 頭痛, 眼の充血, 眼脂などを呈する。

 ・発熱は39度以上の高熱が、3-5日程度続くが、1週間以上続くこともある。

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2.流行性角結膜炎

 ・潜伏期は7~14日で、両眼発症例が多いが、一眼は数日遅れて発症する。

 軽症のことが多い

 ・2週間程度で軽快する

3.胃腸炎

・発熱, 嘔吐, 下痢など。下痢は水様性で8~12日間程度持続する。

4.出血性膀胱炎

 ・肉眼的(目で確認できるほどの)血尿を呈するが、元気で発熱のないこともある。

 ・肉眼的血尿は平均3日ほどで、一般的に腎機能障害は呈さない。

 

📕治療法や出席停止期間は?

アデノウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、抗菌薬の内服は不要

    (ウイルスに抗菌薬は効果ありません)

・通常は予後良好の疾患であり、解熱薬, 水分補給, 点眼薬などの対症療法を行う

発熱が続き、ぐったりして水分が取れない場合は、点滴を要する可能性があるため、再受診しましょう。

登校停止期間:主な症状がなくなった後2日を経過するまで

 

📕感染対策は?

・感染力は強く、飛沫・接触感染により感染し、テーブルなど環境表面でも10日以上感染力を保持する

アルコール消毒の効果は乏しく、石鹸と流水でしっかり手洗いする

・汚染物品の消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効