クリニックで個別に実施している1歳半健診で、お子様の発語に関する相談を時々いただきます。幼児の言語の発達から考えないといけない事についてお話ししていきます。
【幼児の言葉の発達】
1.発語について
・1歳4~5か月児の98%が単語2語出る
・1歳6~7か月児の93%が単語3語出る
→ 1歳6か月の時点でほとんどの児が単語2語を話すので、発語のない場合は、発語の遅 れがあると考え、注意が必要。
・1歳6か月健診の時点で男児の約85%,女児の約93%で5語以上の自発語が
みられ,男児の約2%,女児の約1%は無発語であった。
(平岩幹男:言語発達の遅れ.小児科診療70:433-38. 2007)
2.言語理解については
・1歳4か月児の90%は「~を取ってきて」など簡単な指示を理解
・1歳9か月児の90%は身体部位の指差しができる
(諸岡啓一:言語発達遅滞の診断と早期介入.脳と発達37:131-138,2005)
3.予後について
1歳6カ月時に発語がみられなかった場合約50%で3歳児健診までに発語を認め,1歳6カ月時に1~4語であった児の70~80%は3歳健診で単語の増加を認めた。残りの児は発達障害が顕在化する
(平岩幹男:1歳6か月ころの健診.乳幼児健診ハンドブック その実際から事後フォローまで.診断と治療社,50-51,2006)
→不安をあおってもいけないし、詳しく問診せずに安易に「様子をみましょう」と言ってもいけません
4.想定されること
発語だけでなく、周囲に人の話し声が聞こえているか , 言語を理解しているかどうか ,
周囲の人との非言語的なコミュニケーションが取れるかどうか (指差し、アイコンタクト), 器質的・機能的に発声できるかなどが大事です。
主に考えないといけないのは、難聴, 精神発達遅滞, 自閉スペクトラム症, 表出性言語遅滞です。
(太田さやか:表出性言語発達遅滞.小児内科 Vol. 46 No.11,2014-11)
当院では、1歳6か月健診で発語のなかったお子様については、丁寧にお話を伺いながら約3か月ごとに経過をフォローさせていただいております。