小児科開業医の先生のお仕事~小学6年生のS君の取材より

今日は、心とからだの健康の2021年6月号に掲載された記事を紹介します。小児科開業医の仕事について、小学生との対話形式で紹介しております。

 

先生:S君、こんにちは。今日は、小学校の夏休みの宿題で、先生の仕事の取材でしたね。

S君:はい。今日はよろしくお願いします。

先生:まずは、診療所の中のお仕事から説明しますね。ここでの仕事は、1.小児保健,

 2.一般診療, 3.専門医療の3つに分かれます。

小児保健とは、予防接種や乳幼児健診のことです。予防接種により予防できる病気は積極的に予防していきます。例えば、乳幼児に後遺症を残す危険のある、インフルエンザ菌b型 と肺炎球菌による髄膜炎はワクチンにより大幅に減少しています。ロタウイル性胃腸炎によるひどい脱水で入院する児もほとんど見なくなったね。

S君:ワクチンって大事なんですね。そうだ、お母さんに予防接種のことを聞いてくるように言われていました。

先生:どれ、母子手帳を見せてごらん。小学校6年生だと2種混合ワクチンの接種時期ですね。あれ、日本脳炎のⅡ期 (9~12歳) がまだだったね。特に大きい年齢の子の予防接種って意外と忘れがちなので、カゼなどで受診した時にも確認するようにしています。

乳幼児健診は、子ども達が順調に成長・発達しているかを確認すると同時に、「離乳食をなかなか食べてくれません」「かんしゃくが多くて心配です」などの育児相談にも応じます。健診票を後で行政に提出する事で、地域のお子様の情報を共有しています。

一般診療は、子どもの健康に関する相談全般に対応します。一番多いのは、発熱, 咳, 腹痛, 嘔吐などのカゼ症状での受診です。ぐったりしている, 呼吸が苦しそうなど全身状態が悪ければ、大きな病院へ緊急での受け入れを依頼します。便秘や夜尿症 (おねしょ)の相談なども比較的多いですね。

S君:けがした場合も見てもらえますか?

先生:いい質問ですね。遊具に頭をぶつけたなどのけがや熱傷も軽度であれば対応していますよ。また、おちんちんが痛い, 耳が痛いなど、他科との境界域にも対応しています。まずは迷ったら小児科に相談してください。対応が難しい場合や判断に迷う場合は専門の科へ紹介します。

専門医療は診療所の個性が最も出る部分です。かかりつけの先生がどの分野が得意なのかは、各医院のホームページから確認できると思います。また、在宅医療に取り組んでいる先生, 病児保育や障害児のための発達支援事業を運営している先生もいます。

S君:ところで小児科の先生は何歳まで診てくれるのですか?

先生:先生のような街のお医者さんは特に決まりはないけど、総合病院だと中学3年生までが小児科、それ以降は成人で線引きされることが多いと思います。

S君:診療所の外ではどんなお仕事がありますか?

先生:主な仕事は学校医・園医です。学校医の仕事は、毎年の全校生徒の健診の他に学校の先生からの相談に随時応じています。新型コロナの感染対策についても保健室の先生から相談されましたよ。3か所の保育園の園医も引き受けています。その他、市の保健センターでの集団乳幼児健診やお医者さん同士の会議などの仕事もありますよ。

S君:先生のお仕事は幅広いですね。

先生:まとめると、街の小児科医は地域の子ども達の健全な成長・発達を、大きな病院や他科の先生方, 教育 (園, 学校), 行政 (市)と連携して支援しています。とてもやりがいがありますよ。よい記事ができそうかな。S君の記事により、将来の夢に「小児科医」と答えてくれる子がでてきたら嬉しいな。

S君:はい、頑張ります。