地域の小児医療は崩壊しています

 現在、地域では小児医療が崩壊しております。近隣の小児科は、予約開始から数分で予約が全て埋まってしまいます。当院では、順番制で対応しておりますが、あっという間に30人待ちという状態に陥ってしまいます。

 また、入院を要する子の入院調整が難しい日が続いております。先日は、大和市立→海老名総合と受け入れ不可で、古巣の相模原病院にギリギリのところを調整し、引き受けてもらえました。その日は、もう1人入院が必要な子がいたのですが、帰省中のお子様でしたので、自宅のある静岡県の病院に電話し、引き受けていただきました。急遽、新幹線で移動してくださった、お母様ありがとうございました。

この事って、あまり報道されていないですよね?

 なぜこんな状況に陥っているのでしょうか?新型コロナが増加しているからでしょうか?それも多少は関連しているかもしれませんが、ウイルス性胃腸炎, RSウイルス. ヒトメタニューモウイルス, アデノウイルス, ヘルパンギーナ, 溶連菌など。多彩な感染症が同時に流行する、これまでにない事態に陥っているからです (通常は圧倒的に強いウイルスが存在します)。そのせいで、外来と病棟がパンクしているのです。

 

 下図は、小児科病棟のイメージです。あくまでも私が想像したものであり、現実は病院によって異なってくると思います。だいたい、6人部屋が2つあり、後は1~2人部屋で構成されているのではないでしょうか。通常、RSウイルスや胃腸炎など感染症の子は1人部屋あるいは2人部屋で管理されます。今回のように複数の感染症が同時流行している状態ですと、それほど多くない個室があっという間に埋まってしまい、ただでさえ難しい、ベッド管理の難易度が格段に上がります😭

極端かもしれませんが現在の小児科病棟のイメージです

例えば、6人部屋があと2人空いていたとしても、感染症の種類によっては患者さんは受けられません。入れる部屋の選択肢が少なくすぐに積んでしまいます。病棟でも、毎朝パズルのように、色々なケースを想定しながら、ベッド移動させたり、考えているのですが、それだけでは追いつかないことが多々あるのです。

では、小児科の病床数を十分に確保するのはどうでしょうか?と思ってくださる方もいらっしゃるかもしれません。それができれば理想なのですが、小児科は季節性があり、

暇な時期 (感染症の流行のない時期)はベッドがガラガラなのです。病院の管理者会議で幹部や他科の先生方がそこをついてきて肩身の狭い思いをすることもあります。

小児科病棟は他科の成人が入り込んでいることが多いのです😭 しかも、小児科病棟では成人を受け入れておりますが、他科の病棟は受け入れてくれません。

 

では、今の医療崩壊状況に対して、私達は何ができるのでしょうか?

1) 園や学校

・マスクは負担のない範囲で。換気や手洗いなど感染対策をしっかりしていただく

2) 当院

・赤字になってしまいますが、感染症は可能な範囲で検査した上で、紹介する

・引き続き、診療を希望されるお子様は原則として全て対応する

 (月・火・金・土) 

などが考えられます。

 

この危機的状況を乗り切るために、当院は、地域の砦だという意識で頑張って生きたいと思います。