お母様からの質問 「おちんちんの皮はむいた方がよいのでしょうか?」

 外来でよくお母様より「おちんちんの皮はむいた方がよいのでしょうか?」という質問をいただきます。

 今日はそれにお答えしていきたいと思います。まずは回答ですが、「大部分は思春期以降に自然にむけるようになるので何もする必要はありません。無理にむくと、痛いだけでなく、かえって傷が瘢痕化しむけなくなってしまうこともあります

 それでは、解説していきたいと思います。

 おちんちんの皮が全くむけない状態を包茎といいます。下図をご覧ください。

https://www.family-dr.jp/?column=20733より引用

 生まれた時には、亀頭と包皮内板がほとんど癒着しているので、包茎であることが正常です。3~4歳頃には、陰茎の成長とともに、大部分の癒着が消失し、間欠的におこる勃起によって、包皮口が開大きし、亀頭の一部が自然に露出します。

 

それでは、いったい何歳ぐらいで皮がむけるようになるのでしょうか?

 1~12ヶ月の乳児238人と3歳児1,283人の包皮の状態を調べた調査では、包茎(まったく皮のむけない状態) は生後1~3ヶ月 88.5%, 生後7~9ヶ月 63.9%, 10~12ヶ月で58%, 3歳で35%でした。包皮をむけるのは、生後1~3ヶ月 3%, 生後10~12ヶ月 19.9%, 3歳 38.4%でした。

 Phimosis of infants and young children in Japan - PubMed (nih.gov)

もう少し、長期的に経過を追った調査によると、包皮が完全にむけるようになるには、生後6ヶ月では0%ですが、11~15歳で62.9%。その一方で、全く包皮がむけないのは、生後6ヶ月では84.3%だが、11~15歳では8.6%でした。

Analysis of shape and retractability of the prepuce in 603 Japanese boys - PubMed (nih.gov)

 つまり、包皮を完全にむけないのは、乳幼児では普通であり、思春期には自然にむけるようになっていきます

 無理にお子様のおちんちんの皮をむこうとする必要はありません。無理に皮をむこうとすると、痛いだけでなく、包皮口を含む包皮先端部に裂傷を起こし、慢性化すると、

包皮口が傷跡により狭くなり、かえってむけなくなってしまうことがあります。

 

では、治療を要するのはどのような場合でしょうか?

1) 亀頭包皮炎を繰り返す場合

 陰茎先端が赤くなったり痛くなったり、場合により膿をみとめます。包茎に伴い、包皮が汚染することによります。再発する場合には治療を検討します。

2) 持続的バルーニングをみとめる場合

 排尿時に陰茎が風船上に膨らむ状態です (排尿初期だけであれば問題なし)

 

http://blog.livedoor.jp/zcbmadgjl7/archives/18216325.htmlより引用

3) 嵌頓包茎の既往

包皮を無理にむいた後戻らなくなった状態。放置すると重大な合併症を起こす危険

があります。整復が必要です。用手的に整復できたとしても、裂傷があり、その治癒過程で瘢痕狭小化を来たし、治療が必要になることが多いです。

小児科 62 (10) 1168-1173 ,2021より引用

(4) 乳児期に尿路感染症を繰り返す場合

包皮先端に便が付着し、包皮口から細菌が侵入することによります。

 

治療については、別の機会にお話させいただきます。