外来での質問~手のひらが赤くなり発疹が出てきたのですが

 外来でよく、「手のひらが真っ赤になり湿疹が出てきています」という相談を時々いただきます。

 これは、「小児掌蹠丘疹性紅斑性皮膚炎 (しょうにしょうせききゅうしんせいこうはんせいひふえん) 」です。俗称砂かぶれ皮膚炎」です。砂が原因ではなく、砂にかぶれた様になるという意味です。

 まずはお母様への回答から「これは正式名称が、小児掌蹠丘疹性紅斑性皮膚炎 (しょうにしょうせききゅうしんせいこうはんせいひふえん) で、俗称が砂かぶれ皮膚炎です。原因は明確にされていませんが、何らかのウイルス感染に伴うものといわれています。特効薬はなく自然治癒を待ちます。1ヶ月ほどで治ります。治る前に皮がむけますが驚かないでくださいね

 

 とりあえず国内の論文を検索しましたが、ほとんどなく、あっても1980~90年代のものが大半を占めていました😲 

 2018年に77例のまとめが報告されていたので紹介させていただきます。

 著者:荻野篤彦

 タイトル:小児掌蹠丘疹性紅斑性皮膚炎 (いわゆる砂かぶれ様皮膚炎)

   雑誌:皮膚病診療: 40; 75~78, 2018.

 

【一般的な経過】

1~2歳の幼児の手掌 (手のひら) と足底部が赤くなり、特に手指足趾の末端部や指の間に発疹が目立つ傾向があります。手背や足背でも発疹が散在性にみられることもあります。約1~2週間すると皮がむけ、約1ヶ月で後遺症なく治癒します。

左:てのひらの赤みと指に発疹の増強  右:皮むけの後に治癒

【特徴】

☑ 年齢は、4歳までが87%をしめ、1歳代にピーク

☑ 男女比は3:4と女児がやや多い 

☑ 12~5月に多い

☑ 約3割の家族 (ほとんど母親) の手に紅斑を主とした皮疹がみられた

 

【治療】

自然治癒を待ちますステロイド外用薬には反応しません。

1ヶ月ほどで治癒し、再発はありません。

 

【原因】

いまだに明らかではありませんウイルス感染に伴うというのが最有力ですが、この文献の著者は、12~5月の比較的寒い時期に集中していることより、寒冷刺激が関与している可能性を考察しております。