外来での質問「おちんちんが小さい気がするんですが」

 外来でたまに「おちんちんが小さい気がするんですが」という質問をいただきます。

これは、埋没陰茎という、陰茎のサイズは正常であるが、皮下に埋没している状態の

可能性が高いです。

 健診や外来で陰茎が小さいとして気付かれることが多いですが、症状として、排尿時のバルーニング, 衛生的な問題による亀頭包皮炎, 亀頭と包皮の間の包皮内残尿などの排尿障害, 排尿自立後の立小便困難などがあります。

左図のような状態。右図は包皮内バルーニング

 原因は、陰茎の皮膚の不足や筋膜の付着異常など先天的な解剖学的な問題です。

 注意しないといけないのは、矮小陰茎 (マイクロペニス)との鑑別です。陰茎を伸展させて長さを測り、乳児で2.0cm以下、幼児で2.5cm以下なら疑い、男性ホルモン投与の適応となる可能性があるため、小児内分泌専門医へ紹介します。

 対応としては、包皮翻転が可能な軽度の場合は、最終的な外観は問題ないことが多く、経過観察がすすめられます。包皮翻転ができない場合は、包茎と異なり、自然に可能となることは少ないので、ステロイド軟膏の塗布をしますが、効果がなければ手術適応となります。

 

参考文献

1.久松 英治, 【症例から考える小児泌尿器疾患:小児病院での私のみかた】乳幼児によくみる泌尿器疾患 乳幼児の埋没陰茎と包茎(1), 小児科診療, 85巻, 335-339;2022.

2.此元 竜雄, 【症例から考える小児泌尿器疾患:小児病院での私のみかた】乳幼児によくみる泌尿器疾患 乳幼児の埋没陰茎と包茎(2), 小児科診療, 85巻, 341-347; 2022.