【知っておこう】アルコール消毒液は万能ではありません

ここ最近、ウイルス性胃腸炎の患者さんが比較的多く、先週は30人ほど診察しました。

明らかな胃腸炎症状のある方のみをカウントしているので、疑い例までも含めると、50人ほどになるかもしれません。

 

外来で、新型コロナウイルスと違って、アルコール消毒は効かないです」と説明すると、びっくりされる方が多いです。今日はその理由について解説します。

 

ウイルスには外側にエンベロープという脂溶性の覆いにより遺伝情報を守るものがいます。アルコールはこのエンベロープを破壊することにより、抗ウイルス効果を発揮します。

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次にウイルス性胃腸炎の代表ウイルスであるノロウイルス新型コロナウイルスの構造をみてみましょう(国立感染症研究所にHPより引用)

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ノロウイルス (エンベロープを持たない)

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新型コロナウイルス (エンベロープを持つ)

 

ノロウイルスエンベロープを持たないからアルコール消毒が効かないのです。

 

最後に、主なウイルスのアルコール消毒の効果を図で示しますね。

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ウイルスとアルコール抵抗性

 

したがって、石けんを用いた手洗い、お子様の嘔吐物や下痢に対応するときは、手袋を装着する、などがノロウイルスの感染予防になります。

 

石けんの有効性について記載した過去記事です↓

 

teammanabe.hatenablog.com