【学会メモ】気管支喘息と環境整備

学会メモでは、各種学会のオンデマンド配信でとても有用だった内容を紹介しております。今回は、日本アレルギー学会のシンポジウムより、環境整備についての講演がとても面白かったので、演者の先生の迷惑にならなさそうな範囲で共有させていただきます。

 

・2014年に環境整備は喘息のコントロールに有用ではない、という結論にシステマティックレビューが発表された→世界ではダニ抗原量の減少を目的とした環境整備は評価されていない

※システマティックレビューとは、簡単にいうと、質の高い論文を集めて合算して解析したもので、エビデンスレベルとしては最も高いとされています。余談ですが、私は日本の小児喘息ガイドライン2017と2020に、システマティックレビュー委員として関わらせていただきました。

 

・演者の先生は論文を1個1個丁寧に吟味。効果のなかった論文を紐解くと、ヨーロッパではもともと環境中のダニは日本ほど多くない、解析対象に重症喘息が含まれている (重症喘息は環境整備でどうにかなるレベルではない) などを指摘していました。実際に、中等症以下を対象とした解析では環境整備が効果のあったことを解説してくださいました。

 

・環境整備32項目の中でも特に、「週に1回以上寝具に掃除機をかけている」「天日干しした後寝具に掃除機をかけている」「掃除機をかける前に床の拭き掃除をしている」が特に重要であった。

 

演者の先生のシステマティックレビューの結果に流されず、各論文をきちんと吟味する姿勢は大事だなと改めて思いました。

 

一番面白かったのは、フロアでの質疑応答です。

Q. 環境整備でもっとも効果があるのを一つあげろと言われたら?

A.掃除機をかける前に床の拭き掃除をしている

 

Q.寝具の掃除について

A.布団用ノズルが必要。安価のものでも十分ダニを除去できる

 

薬剤だけでなく、環境整備についてもしっかり資料を作り、説明させていただくようにしたいと思います。