4種混合に含まれるワクチン~ポリオワクチンの歴史と接種スケジュール

今日は、4種混合ワクチンに含まれるポリオワクチンの歴史についてお話しします。

 

【ポリオとはどんな病気?】

ポリオウイルス感染によるもので、大部分は無症状ですが、手足に麻痺が出て、重症になれば呼吸筋の麻痺により呼吸ができなくなり死亡するおそれのある病気です。

命が助かっても、麻痺が残る可能性があります。現時点で、治療法はなく、ワクチンが唯一の予防法です。

 

【ポリオワクチンの歴史】

日本では、1960年に全国で5,000名を超えるポリオの大流行をみとめました。その後、翌年より、経口生ポリオワクチン (oral poliovirus vaccine; OPV) 接種が導入され、その効果は絶大で、短期間のうちにポリオ流行を制圧し、再び流行することはありませんでした。しかし、OPVには約440万接種に1例と稀ではあるが、本来弱毒株であるはずのワクチン株が病原性を持ち神経毒性を発揮することにより起こる、ワクチン関連麻痺が問題視されるようになりました。そのため、2012年より、皮下注射による不活化ポリオワクチンに切り替えられました。同年11月には4種混合ワクチンとして接種されるようになりました。

 

【接種スケジュール】

ポリオは、0~1歳時に計4回の4種混合ワクチン接種 (百日咳, ジフテリア, 破傷風, ポリオ) により予防しますが、その予防効果は経年的に減弱する可能性があります。4歳以降に追加接種すると、ある程度長期間にわたって免疫を維持できることが示唆されており1)、欧米諸国の多くは4歳以降に追加接種が実施されています。わが国には近年ポリオ患者の報告はありませんが、いつ国内にポリオウイルスが入ってきてもおかしくなく、2018年8月に日本小児科学会より、就学前の接種が任意接種として推奨されました2)

注意)就学前の不活化ポリオワクチンの価格は当院の価格です

参考文献

1.Bottiger M. Polio immunity to killed vaccine: an 18-year follow-up. Vaccine 1990; 8: 443

2.vaccine_schedule.pdf (jpeds.or.jp)