今日は、外来でいただいたご質問「3ヶ月前よりまぶたの上にできものができています」について回答します。外来でご相談いただいたのは4歳のお子様です。
イメージとしては下図です。
これは霰粒腫 (さんりゅうしゅ) です。マイボーム腺という、眼瞼(まぶた)のまつ毛の生え際よりもやや内側にある、油分を分泌する器官 (涙のほとんどは水分ですが、水分が蒸発しないように涙の表面に油がのっていて、その油がこの腺より分泌されています) の開口部がつまることで、腺の内部に脂がたまり、肉芽腫 (しこり)となった状態です。
一般的には思春期~中年期にかけて多く見られ、性差はないとされています。マイボーム腺が性ホルモンの標的期間であることから、性ホルモン濃度が高い時期に一致して、
生じやすいと推測されていますが、幼児期~小児期にも生じえます。
症状としては、まぶたにコロンとした腫瘤をふれますが、発赤はあまりなく、痛みもありません。
治療は、根治的には切開ですが、子どもの場合、全身麻酔下での切開となるので、基本的には経過観察となります。ステロイド眼軟膏の有効性が報告3)されていますが、有効な場合でも腫瘤の縮小には数ヶ月を要します。また、副作用としての眼圧上昇に注意が必要です。巨大化し、視力の発達に影響が出そうな場合は手術適応となります。
当院としては経過観察し、ステロイド眼軟膏塗布を希望された場合や大きくなってきた場合は、診断も含め、眼科の先生に紹介させていただきます。
参考文献
1.野田実香. 小児の霰粒腫治療のコツ, 眼科手術, 2022,35 (2), 263-267.
2.平野澄江. 麦粒腫・霰粒腫は薬だけでは治らないの?, 眼科ケア, 2014, 冬季増刊, 138-141.
3.渡辺芽里,他.小児の霰粒腫に対するステロイド眼軟膏による治療, 眼科, 2015, 57, 1451-1456.