【病気の解説】帯状疱疹

 当院では、4月より50歳以上に対する、帯状疱疹ワクチン (自費) の接種を開始予定です。それにむけて、まずは帯状疱疹について解説していきたいと思います。

 

🗻帯状疱疹の原因は? 水痘・帯状疱疹ウイルス (VZV)の再活性化

水痘・帯状疱疹ウイルス (varicella zoster virus: VZV) が原因で起こります。

小児期に水痘に感染し、水痘が治癒した後もVZVは後根神経節に潜伏し続けますが、

細胞性免疫によりその活動が抑制されます。

加齢, 過労, ストレス, 免疫抑制状態 (ステロイド薬服用, 免疫抑制剤使用, 腫瘍) . 外傷などにより、細胞性免疫が低下し、VZVが再活性化することにより発症します。

まとめると、VZVが1度目は水痘, 2度目は帯状疱疹を発症させることになります。

 

🗻帯状疱疹に罹患するリスクは?

人口1,000人あたり年間4.15人で、加齢とともに上昇し、50歳以上での発症率は

 5.23~7.84人になります。

80歳までに約3人に1人が帯状疱疹に罹患します

・男性<女性

・夏>冬

 

🗻感染力について

皮疹が出現してから痂皮となるまでの間は感染源となります。

経路は皮疹との接触であり、皮疹を被覆することで感染リスクを低減できます

・患者が皮疹を搔爬した際に手指を介して間接的な接触感染が起こる

・家族内感染については、15.5%の頻度という報告がある

 

🗻帯状疱疹の症状は?

神経の走行に沿った部位の皮膚に発疹・水疱形成をきたし、しばしば痛み (神経痛) が出現します。一般的には、抗ウイルス薬が投与されれば、2~4週間で皮膚は痂皮化し、痛みも軽減します。しかし、帯状疱疹後神経痛 (postherpetic neuralgia: PHN), 運動神経麻痺, 顔面神経麻痺, 耳鳴り, めまいなどの合併症をきたすこともあります。

ACイラストよりダウンロード

🗻帯状疱疹の主な合併症について

1) 帯状疱疹後神経痛 (postherpetic neuralgia: PHN)

 帯状疱疹に罹患してから3ヶ月以上経過しても残存する痛みと定義されます。「焼け付くような痛み」、「電気が走るような」と表現される電撃痛アロディニアという

「通常では痛みを引き起こさない刺激によって生じる痛み」例えば、風が当たると痛い、痛くて入浴できない、などを認めます。

PHNへの移行リスクは50歳以上で約2割という報告があります。

帯状疱疹後神経痛の危険因子

(2) Ramsay Hunt症候群 (顔面神経麻痺+難聴・めまい)

耳介の帯状疱疹に顔面神経麻痺や難聴、めまいを合併します。顔面神経麻痺の治癒率は70%で後遺症が残る例が少なくありません、また、高度難聴の回復は困難で、めまいも長期間持続します。

 

新型コロナのオミクロン流行期に林・前横浜市市長に罹患しましたね。

横浜市の林文子市長が再入院 18日に退院も…帯状疱疹で左顔面まひ、2週間程度:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

🗻まとめ

帯状疱疹は罹患のもつらいですが、その後の後遺症のリスクが最大の問題点です。

80歳までに1/3が帯状疱疹に罹患し、50歳以上は感染したら2割が帯状疱疹の治癒後も神経痛を訴えるとなると、皆様の身近にはいらっしゃるのではないでしょうか?

予防するには小児期と50歳以降のワクチン接種が重要です。後日、当院が新たに取り組んでいく、50歳以上の帯状疱疹ワクチンについてお話しします。