今日は、外来でお母様よりよくいただく質問の1つ「咳が多く呼吸が苦しそうなのですが大丈夫でしょうか?」について、お答えしていきたいと思います。
大事なポイントは、
1) 睡眠状況
2) 咳き込み嘔吐の有無
3) (医療機関のみ)酸素飽和度 SpO2
4) 呼吸回数
5) 陥没呼吸の有無
6) 心拍数
です。
1)睡眠状況
咳によりほとんど眠れていないのは要注意です。
2) 咳き込み嘔吐の有無
これも頻繁だと要注意です。乳児の場合、呼吸障害がなくても、これだけで入院を
考慮します。
3) 酸素飽和度
病院で手や足の指に機械をつけて、「97だから大丈夫だ」など言われたことがある方がいらっしゃるかと思います。これは、パルスオキシメーターといって、体内の酸素が十分かどうかを簡単に調べる機械です。ざっくりとした感覚では、97%以上が正常, 94%以下だと要酸素となる可能性があり入院を検討します。
4) 呼吸回数
呼吸が苦しくなると、それを補うために呼吸回数が増えます。
お子様を裸にして1分間の呼吸回数を数えます。15秒数えて×4で十分です。
呼吸回数の目安は下記をご参照ください。
5) 陥没呼吸の有無
呼吸が苦しくなると、普段使わない場所までつかって呼吸を維持しようとします。
肩が上がった呼吸をしたり、陥没呼吸といって、鎖骨の上やみぞおちがへこんだ呼吸をします。
比較的わかりやすい動画もありました!
6) 心拍数
苦しくなると、心拍数は上がります。年齢に応じた正常心拍数は下記をご参照ください。
1分間の心拍数は手首に指を当てると測定できます。呼吸回数と同様に15秒×4で良いでしょう。
外来では、上記のことを問診と診察により総合的にアセスメントさせていただいております。ご自宅では酸素飽和度の測定はできませんが、それ以外の指標で十分評価できます。酸素飽和度だけで判断するというようなことはありません。酸素飽和度が正常でも、呼吸の苦しいことはしばしばあります(体が頑張ってしのいでいる状態でもう少しすると下がってくる状態かもしれません)。日頃からお子様の呼吸状態を評価する練習をしておくと、体調不良時にはスムーズだと思います。わからない事があったら診察時に気軽にご質問ください。