今日は、日本小児科学会誌2024年5月号に掲載された、小中学校・特別支援学校教職員を対象とした「教育と医療の連携」に関するweb調査の結果を紹介します。
対象は、連携に熱心な小児科医の地域の学校の先生1,676人で、以下が回答者の背景になります。
結果です。
1.連携の経験と対象疾患
.医療と連携したことがあると回答したのが1,267人(77.8%)で、内訳は下図
2.連携が機能しているかどうか
「連携は十分に機能している」が9.7%,「機能しているが,まだ不足している」73.2),「機能しているとは言えない」が17.1%であった。
3.連携の負担
負担が大きく,仕事が増えると感じるが19.2%,負担は感じないが仕事が増えると感じる31.3%,負担は感じるが,最終的には自分の仕事が減ると感じるが25.7%,負担も仕事が増えるとも感じないが23.8%だった.
4.連携しやすい方法
5.医療と連携する時の困難
6.医療に知っておいてほしい教育現場の実情と要望 (抜粋)
・家庭/病院と学校では子どもの行動が違う
・教員免許は国家資格でなく個々の背景は多様である。
・学校での様子は学校に聞いてほしい
・個別対応という方針には同意しづらい
・「指示」と「提案」を区別してほしい
(感想)
一言でまとめると、現状では医療と教育の十分な連携は難しい、ということに尽きると思います。その理由としては、双方が多忙で連絡や日程調整が難しいこと、そしてお互いへの理解が不十分であることが挙げられます。(教員側は6.で多くの主張を記していましたが、医療側にも多くの言いたいことがあります。)
連携を促進するためには、相互にリスペクトしつつ理解を深めることが重要ですが、そうした交流のための時間を確保することが困難です。さらに、個々の医師や教員が連携を図ったとしても、その限界があり、結果的に燃え尽きてしまう可能性があります。そのため、組織的な連携システムは不可欠でしょう。現状のシステムを抜本的に見直し、大胆な改革を行わない限り、良い方向へ進むのは難しいと思います。