どっちもどっち

先日、知り合いのお爺さんより「ひどい話しがあるんだよ」と言われました。「どうしたのですか?」と私が聞きました。すると、お爺さんは、悲しそうに「今日の朝、妻がなかなか起きないから、このままだとゴミ収集車が行ってしまうよと声をかけたんです。そしたら、この役立たずがと言われたんですよ」と答えました。このお爺さんは体が悪く、物を持って歩くのもおぼつかない。私が「それは、辛かったですね」と返したら、お爺さんはすかさず、「昨日もひどかったんですよ」と続けます。私が「何があったのですか?」と聞いたら、お爺さんは、怒りをにじませながら「妻は胃腸炎で腹痛・嘔気でずっと寝ていて、ご飯を作ってくれなかったんですよ。何度声をかけても動かないから、仕方なく冷蔵庫のものを食べたんです」と答えました。私が「でもお婆さんは、体調が悪かったんですよね。それなら、出前を自分で取るなり、冷蔵庫のものを食べるなり協力してあげてもいいのではないでしょうか」と返したら、そしたらお爺さんは、何を言っているのだという様子で、「簡単なものでも作るのが妻としての役目ではないか」と答えました。私は、少し間を置いて「どっちもどっちですね」とコメントしましたが、お爺さんには全く通じない様子でした。

帰宅後、私が息子にこの老夫婦の話をしました。私が「どっちもどっちだね」と話したら、息子が「そうだ、弁護士に決めてもらおう」と言いました。そうするまでもなく、2日後には、老夫婦はいつも通りに戻っていました。めでたしめでたし~

ACイラストよりダウンロード