【再投稿】お母さんからの質問「こどもの口臭が気になったのですが」

 質問してくださったのは、赤ちゃんのお母様ですが、乳幼児全体の口臭に対する考え方を解説します。

 

口臭の分類】

1.真性口臭症:明らかな口臭が認められる。家族すべて、診察医も認識

  生理的口臭:原因のないもの。

  病的口臭:原因のあるもの

2.仮性口臭症本人のみが口臭を訴える。

3.生活習慣口臭:ニンニクなど飲食物やタバコに起因

 

乳幼児の口臭=保護者が感じる口臭だから、真性口臭症と考えます。

もし、起床時や空腹時に生じやすく、その後は認めることが少なければ生理的口臭症と考えます。

 

【小児の病的口臭】

口臭の大部分は口腔由来で、口腔内の嫌気性菌が産生する揮発性硫化物 (VSC)によります。唾液は、口腔を常に洗浄していると同時に、抗菌作用を有しているため、細菌の増殖を抑え、口臭の原因となるVSCの産生を抑制します。口呼吸により口腔内が乾燥すると、唾液による自浄作用が低下し、口臭が発生しやすくなります。

 

花粉症, 副鼻腔炎やかぜの時は、鼻閉→口呼吸となり、口臭を認めます。これらの場合、治療あるいは自然経過により、鼻閉・口呼吸が改善すれば、口臭は改善します。

カゼの時に、時々処方される、ヒスタミンという種類のお薬は唾液分泌を抑制する作用があり、関係している可能性があります。

 

あとは、乳歯から永久歯への歯の生え変わり中もVSCの濃度が上がるようです。

 

生活習慣によるものとしては、食事で軟らかいものばかりを食べていると、口周囲の筋肉の筋力低下により、口呼吸が増加します。

また、朝食を摂取しない児では、VSCの濃度が高かったという報告もあります。寝ている間に口腔内の細菌が活動することによりVSCは増加します (だから、生理的口臭は起床時に起こるのですね) 。食事に伴い、舌表面のVSCが流出されるからと著者らは考察しています。なお、朝は余裕を持って起床し、朝食は食べなさいよ、という生活指導により

VSCは減少したようです。規則的な生活って重要ですね!

 

口臭について相談されることって年1回あるかないかです。勉強する機会を与えていただきありがとうございました。

 

参考文献

1.岩渕博史, 小児の口臭. 小児内科. 2011, 43 (10): 1759-1761.

2.佐野祥平, 他. 幼児の健康福祉に関する研究- 幼児の口臭の実態と口臭改善のための保育実践ならびに健康的な暮らしづくり-, 保育と保健. 2008, 14 (1): 65-68. 

3.有木信子, 他. 幼児の口臭の実態および保護者への啓発活動, 保育と保健. 2007, 13 (1): 23-27.