長髪のお母様は乳幼児の添い寝には気をつけましょう

日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。2022年11月号の学会誌からの報告を共有したいと思います。

以下、学会誌の内容を一般の方向けに簡潔にまとめました。

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会. Injury Alert (傷害速報) No.117

No. 117 ヘアターニケット(毛髪)による頸部絞扼, 日児誌 126: 1542-1544, 2022

 

まずは、概要ですが、

生後10ヶ月の児。母と添い寝で、入眠中でした。児の泣き声で母が起床し,自身の毛髪により頸部を絞扼していることに気づきました。父が寝室に駆け付け,ハサミで毛髪を切断しました.絞頸状態は約5分程度で解除されたと推測されています。児の顔面のうっ血が著明であったため救急車で搬送され入院となりました。入院後は児の状態に問題なく、各種検査でも異常はありませんでした。虐待の可能性を否定できず、児童相談所, 法医学の先生の介入もありましたが、人為的な絞扼ではないと判断されました。退院後も特に問題なく経過していることが確認されています。

 

ヘアターニケット症候群は,毛髪や糸などが手指などに絡まることで局所の絞扼を呈する病態です。過去にも何例か報告されており、母が誤逮捕されたケースもあるようです。予防策としては、1) 添い寝をせずにベビーベッドを使用する, 2) 添い寝する可能性のある保護者は、毛髪の長さを調節する, 括るなどがあげられています。

 

特に乳幼児のお母様で、添い寝をされる方は、ご自身の髪の長さには気をつけましょう。

 

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