日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。2022年11月号の学会誌からの報告を共有したいと思います。
以下、学会誌の内容を一般の方向けに簡潔にまとめました。
No. 116 ビーズ玩具による外耳道異物・鼓膜穿孔, 日児誌 126: 1540-1541, 2022
【事故の概要】
4歳男児。児より「ビーズを耳に入れた」と申告あり、救急外来を受診。摘出はビーズの鼓膜との癒着や出血により1時間を要した。鼓膜は穿孔していた。その後の聴力などの経過に問題はなかった。
【解説】
この玩具はポリビニルアルコール (PVA) 製でした。PVAは、水溶性と接着力という特徴から,水性塗料,接着剤,のり剤(液状糊,切手の裏の糊など),医療に使用されています。
この玩具は、直径約5 mmの複数個のビーズを様々な形に並べ,霧吹きで水をかけた後に乾燥させるとビーズ同士が接着して作品となるものでした。PVAには水溶性と接着力という特徴があるため,少量の水分が存在した後に乾燥すると,生体にくっつきます
今回のお子様の場合、鼓膜にくっつき、摘出しずらくなると同時に、鼓膜が破れてしまったんですね。
保護者, 医療者おもに、PVA製のものを耳に入れた際に、接着し、鼓膜穿孔のリスクがあることを認識しておく必要がありますね。
この報告をみて、特に息子がふざけて入れそうだなと思い、こわいなと思ったので共有させていただきました😅