【米国より】5~11歳へのオミクロン対応ワクチン追加接種の安全性

 今日は、日本で、今後承認され、接種が進むであろう、5~11歳への従来株に加えオミクロン株にも対応した2価ワクチンの安全性について、CDC (米国)からの報告を紹介します。

 Safety Monitoring of Bivalent COVID-19 mRNA Vaccine Booster Doses Among Children Aged 5-11 Years - United States, October 12-January 1, 2023 - PubMed (nih.gov)

 日本では、この年齢層は、ファイザー社製になるので、ファイザー社製のデータのみ抜粋してお伝えします。

 2022年10月12日~2023年1月1日の期間に米国では5~11歳953,359名 (ファイザー861,251名, モデルナ92,108)に、従来株+オミクロン株の2価ワクチンが接種されました。

なお、2価ワクチンは現行のルールでは、従来株ワクチンによる初回免疫が終了している児のみ接種できます。

 今回は、安全性について報告されています。

 最初に、v-safeという、患者さんがスマホから任意に登録するシステムからの報告です。ファイザー社製を接種した2,647名の方より登録がありましたが、登録に協力した方が、接種後に症状の出た人に偏っている可能性があり、各症状の発現率は実際はもっと低い可能性があります

 ・何らかの接種部位の反応 (疼痛・腫脹・発赤・かゆみ)  65.7%

    ・何らかの全身の反応 45.9%     発熱19.3%, だるさ30.2%, 頭痛19.3% など

 ・学校の欠席 13.4%

    ・入院を要した例 0%

 最後に、医療機関受診を考えた人64名のうち、37名は詳細を調査できたのですが、うち35名は新型コロナとは関連がなかったようです。 接種後1週間のデータなのでワクチン関連以外の要因も含まれてしまいますね。

 

 次にVAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System)のデータです。

v-safeがスマホで各個人が簡単にサクッと登録できるのに対して、VAERSは副反応報告書のようにカッチリした登録となります。稀な副反応のピックアップに力を発揮します

 約847例が報告されました。約80万に接種してこの数なので、副反応が重たい症例に偏っている可能性がありますよね。すなわち、「これは!」という例が中心に報告されているのでしょう。

  接種側のミス (接種量の間違いなど)が85.9%をしめました。そのうち9%に副反応をみとめています。

 全体で重篤な副反応は2例 (0.2%)のみでした。1例はミラー・フィッシャー症候群(神経疾患ですが、通常は予後良好)、もう1例は蕁麻疹と関節炎による入院でした。心筋炎や死亡例の報告はありませんでした

 

 以上より、現時点では、5~11歳へのオムクロン株対応ワクチン追加接種は安全性に問題ないといっていいのではないでしょうか。また、新たな情報が入れば適宜追加させていただきたいと思います。