今日は、お子様が発熱や嘔吐を認めたときに、お母様がしばしば心配する脱水状態の評価の方法についてお話ししていきたいと思います。
いつも診察室で私が確認しているのは、
1) 全身状態
2) 尿量
3) 皮膚緊張度 (ツルゴール)
4) 毛細血管再充満速度 (capillary refilling time:CRT)
5) 口腔粘膜の状態
6) 涙
7) 心拍数
8) (乳児のみ)大泉門
です。
では、1つずつ見ていきましょう。
1) 全身状態
まず、診察室に入ってきた瞬間に、全身状態 (活気はあるか)を確認します。待合室ですでに看護師が確認してくれている場合も多いです。中等症以上の脱水ではぐったりして動かなくなります。逆に、ニコニコしていたり、動き回っていたら脱水の心配はありません。
2) 尿量
普段と比較して明らかに減少しているかを確認します。中等症は8~12時間なし、重症は12~24時間なしが目安となります。
3) 皮膚緊張度 (ツルゴール)
皮膚の張りが弱くなり、指で皮膚をつまみ、離したときのシワの戻りが悪くなります。
4) 毛細血管再充満速度 (capillary refilling time:CRT)
爪を圧迫すると白くなりますが、指をはなすと通常はすぐに戻ります。爪を圧迫し、赤みの回復に2秒以上かかるなら脱水を疑います。
わかりやすい動画もありました。CRT 3秒で急変評価、大事な所見!! - YouTube
注意) 動画では、ショック状態(血圧低下)の見極めを目的としておりますので、CRT3秒以上が強調されております。診察室で脱水の評価が目的なので2秒以上で要注意です
5) 口腔粘膜の状態
6) 涙
脱水が進行すると、口腔粘膜が乾燥し、涙なく泣きます。
7) 心拍数
脱水になると上昇します。先日、熱中症で受診した小学生6年生は、点滴前は心拍数130回/分でぐったりしていましたが、点滴後には95回/分まで低下し元気になりました。
自宅で1分間あたりの心拍数を測定するには下図のように、手首に指をあてて、15秒間の脈拍を数え、4倍します。
8) (乳児のみ)大泉門
脱水になると大泉門が陥凹します。
以上のことを診察室は高速で評価させていただいております。この記事がご自宅でのお子様の様子の把握にお役に立てば幸いです。普段の状態で評価をする練習をしておくと、体調不良時の異常所見に気付きやすいと思います。