【再掲】けがが治るヒミツ~小学生との対話形式

ここ最近、ケガで受診する子が増えてきております。2021年6月23日に投稿した、ケガに関するブログ記事を再掲したいと思います。同じような時期ですね。ケガにも季節性があるのでしょうか・・・?

 

なお、この内容は、心とからだの健康(健学社) 2019年11月号に掲載されております。小学生の子との対話形式になっております。

 

こんにちは、今日はどうしましたか?○○君は、小学校2年生だね。近くの公園で友達と鬼ごっこをしている時に、転んで膝をすりむいてしまったんだね。どれどれ、見せてごらん。血は止まっているけど、ジャリがたくさんついているね。傷のところに、砂, 泥や石などが入るとそこからバイ菌が入って、赤く腫れたり、痛くなったりすることがあるから、まずはしっかり洗いましょう。病院だから生理食塩水というもので洗うけど、外でケガした時は、水道水やペットボトルの水やお茶で洗っても、大丈夫だからね。ジュースやコーラはどうかって?これはさすがに、傷にしみるからやめておいた方がいいよ。お、きれいになったね。浅いキズでよかった。もし、深いキズだったら、外科の先生のところで、縫ってもらわないといけないからね。

消毒しないと心配かな?でも、消毒の必要はないよ。僕たちの体は、自分の力でキズを治してくれるからね。先生が子どもの頃はケガしたら必ず消毒をしていたけど、今では消毒はしない方が良いことがわかっているんだ。理由は、消毒はバイ菌をやっつけるけど、同時に僕たちの体を作っている細胞も傷つけてしまい、体が自分の力でキズを治すのを邪魔することで、かえって治るのが遅くなってしまうからなんだ

後は、キズを乾かさないようにしましょう。なぜなら、ヒトの体を作っている細胞は、水がなくなり、乾くと、死んでしまうからね。ヒトだけでなくお花も同じです。お花に水をあげないと、かれてしまうよね?昔は、「キズは乾かして治す」とえらい先生が発表し、キズ口にガーゼをあてて乾かすことが当たり前だったけど、今では、それは間違いで、「キズを乾かすとかえって治らなくなる」ということが分かっています。キズ口を乾かさないように、ガーゼではなく、ハイドロコロイド絆創膏というものを貼っておくね。この絆創膏の続きは、帰りに近くのドラッグストアで買っておいてね。店員さんに聞けば分かると思うよ。

 家に帰った後に、キズのところから汁が出てきて、ヌルヌルして気持ち悪いかもしれないけど、これは「細胞成長因子(さいぼうせいちょういんし)」という、体がキズを治そうと頑張って作っている薬のようなもので、悪いものではないから大丈夫だよ。お風呂は、明日から、ちょっとキズをぬらしてみて痛くなかったら大丈夫。キズの周りの皮膚をかゆくならないように1日1回は洗い、最後に、石鹸をシャワーでしっかり流しておこうね。1週間ぐらいした頃に、新しい皮膚がキズを覆い、汁が出なくなれば、治ったと考えてもよいけど、しばらくは太陽の光にあたると、黒くなることがあるので、気をつけてね。

キズは、「消毒しない」「乾かさない」ことが大事ということは分かったかな?後は、先生に聞いておきたいことはあるかい?お、いい質問だね。熱いヤカンに触って間違ってやけどをした時や包丁で指を切ってしまった時も同じです。水道の水で洗って、消毒しないで、ハイドロコロイド絆創膏なかったらワセリンを塗ったサランラップを巻いて病院に受診を受診しましょう。これでケガをしても大丈夫だね。いやいや、ケガはしないのが一番だよ。キズがよくなったか3日後に見せにきてね。では、お大事にしてください。

 

参考文献

夏井睦. 新しい創傷管理 2013:31 (3): p31-p33.

夏井睦. 傷とやけど 2018:21 (12):p.28-p.32

 

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