外来にて「お熱が出ました。2月に新型コロナに感染したのですが、再感染の可能性はどうでしょうか?」

先日、外来に2月の新型コロナに感染したお子様が、発熱したということでお見えになりました。お父様の仕事の都合で、PCR検査を強く希望されていましたが、1週間前にも発熱でPCR検査を行っていたこと (短期間で検査が続くと保険診療として認められない可能性があります)と症状からはウイルス性胃腸炎が疑われたので、検査はお断りしました。(個人の特定につながらぬよう、内容を部分的に変えていること、ご了承お願い致します)

その時に、1度、新型コロナ (オミクロン, BA.1)に感染した後、再感染(オミクロン, BA.2 )する可能性はどれぐらいあるのか?ということが気になり、調べて見ました。

 

答えは、「短期間で、再感染する可能性はあるが極めてまれ」です。

 

オミクロン株には、BA.1(B.1.1.529.1), BA.1.1(B.1.1.529.1.1), BA.2(B.1.1.529.2), BA.3(B.1.1.529.3)4つの亜種に分かれています。

現在、国内では、最初はBA.1が主流でしたが、BA.2が主流となってきております。

国立感染症研究所の発表によると、BA.2の割合は現在約70%ほどですが、5月第1週には

93%になると推測されています。

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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000926428.pdf p.73より引用

では、BA.2といっても、同じオミクロンなのに、どうして私が再感染について調べて見ようと思ったのでしょうか?

 

それは、BA.1とBA.2の間の構造の違いは小さくないからです。スパイク蛋白という、人の細胞にくっつく部位に変異の違いが見られております。BA.1とBA.2の違いは、野生株とアルファの違いよりも大きいと言われております。

 

では、再感染はどれぐらい起こりうるのか?査読前ですが、デンマークからの報告がありましたので、共有したいと思います。なお、デンマークでは2月上旬には1日の感染者数が人口100万にあたり8,000人というすさまじい状態でした (東京都内だと1日あたり10万人近くの換算)

 

論文(査読前):62622903 (medrxiv.org)

デンマークでは、2021年11月21日~2022年2月11日の期間で約184万8466人の新型コロナPCR陽性がありました。そのうち、1739例(約0.1%)が最初の感染から20~60以内に再感染したと判断されました。ランダムに抽出され、遺伝子解析を実施できた、263例のうち、47例がBA.1に感染後の、BA.2への感染でした。

再感染例の特徴として、1)ワクチン未接種である、2)初回感染時の症状が軽症であった若年者、が挙げられていました。

 

以上より、60日以内という短期間での再感染の可能性はあるが、極めてまれ、といえます。しかし、60日以降の再感染の可能性についてはまだ未知数です。今後、感染者数の多い状態が続くと、再感染者の数が増えてくる可能性もあり、その動向には注意が必要です。