当地域から世界へ

昨日の、午前外来診療後に、オムロン社の方が、当院が2019年に協力させていただいた、研究の進捗状況について、ご報告にいらしていただきました。

 

2019年に当院の外来を受診した患者さん(喘鳴のない子、気管支喘息やRSウイルス感染症など喘鳴が聴取される子約50名の方に、下図の機器を胸にあてたり、胸の音の録音をさせていただくなどご協力していただきました。

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https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2021/1022.htmlより引用

喘息特有の喘鳴音を検知する喘鳴センサが 「2021 Design Intelligence Award」銅賞を受賞|ニュースリリース|オムロン ヘルスケア

 

この機器は、オムロンwheeze scan という機器で、保護者がご家庭でお子様の胸に30秒間当て、喘鳴の有無 (喘息発作を起こしているかどうか)を見るものです。喘鳴があると、上の方wheezeのランプ、喘鳴がないと下の方のnon wheezeのランプが光ります。喘息のお子様が咳をしているときに、保護者の方にとって、感冒による咳嗽なのか、喘息発作なのか、判断するのは容易ではありませんwheeze scanはここの部分を助けてくれ、外来における喘息管理の質の向上が期待されます。この機器により、保護者の方の自己効力感があがったというデータもあるようです。なお、Bluetoothがあり、スマホにも記録が残るようです。

この研究は、最初、相模原病院OBで開業している、T先生より「国立病院機構南和歌山医療センターの土生川(はぶかわ)先生が、喘鳴を検出する機器の開発研究協力者を探している。協力してもらえないか?たいした負担にはならないと思う」と話がありました。

T先生からのお願いってことで、少し警戒しましたが、将来的に市場に出る機器なら、早い段階で使用して感触を確かめておきたいこと、将来的にクリニックでも臨床研究をしていきたい、スタッフが同意書の取得など研究に慣れるいい機会になる、など考え、ご協力させていただくことにしました。

研究協力医は、開業医を中心に10名強で、目標例数は400例ほどでした。座間市おぎはらこどもクリニックの扇原義人先生もT先生に誘われ、協力者に名を連ねていました。研究自体はそれほど難しくはないのですが、診療中に実行するのはやや負担でした。他の患者さんの診察待ちの時間が長くなってしまうからです。この研究のネットワークで、それぞれの協力医の先生が何例登録したかが見れるのですが、他の先生方の登録数があまり伸びない中、私と扇原先生は2人で競いあうように登録していきました。後で、お会いする機会がありましたが、お互いに勇気づけられていたようです。最終的には、私と扇原先生を合わせて、90/400例ほどの登録だったかと思います。肝心のT先生の登録は、こんなことだろうと予測しておりましたが、「□」でした😅。後日、そのT先生からは、「いい経験になっただろ」と笑顔で言われました。私はそれなりに得たものが大きかったので、心から「声をかけてくださりありがとうございました」と返事しました。

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論文の共著者にも入れていただきました。扇原先生とは隣同士です

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33875413/

 

現在は、欧州ではすでに承認され、販売が開始されております。現在は、中国や米国でも準備をすすめており、日本では、これから治験が始まるそうです。価格は約2万円だそうです。

 

当地域のこども達が、世界中の喘息のこども達の生活の質の向上に貢献した、と思うと,

とても感慨深いものがあります。