先日の外来で、他院で、強剛母指(ばね指)と診断されたんですが、どうしたらよいでしょうか?と言うご質問をいただきました。
🎯ばね指とは?
小児の強剛母指(ばね指)は、母指の第1関節 (IP関節) が曲がったままととなり、進展できない状態です。
親が伸ばそうとすると、弾発 (詰まっていたものが突然はじけるように解除される現象)とともに進展する。
母指を曲げる腱というヒモがあり、硬い靱帯性腱鞘というトンネルを通ります。何らかの原因で、腱がこのトンネルの出口で膨らんで太くなり、このトンネルの中に入らなくなります。曲がった指を戻そうと、力をかけると、腱の引っかかりが外れてトンネルを通過する瞬間、カクンと跳ねるように指が伸びます。この動きが「弾発」です。
🎯疫学
・先天性ではなく乳児期に発症します。約8割が3歳未満で発症します。
・生後1歳の時点で、ばね指 (母指以外も含む)の頻度は3.3/1000人
・両側母指罹患例は25~30%
・母指が約8割。次に中指・環指の順で、示指や小指はまれ
🎯経過
・他の先天性疾患を合併しない
・おおむね徐々に改善する
・34~66%が6~7歳までに自然治癒する
🎯治療
・早期に手術か5~6歳まで手術を待つか議論があるが、最近の傾向では、以前よりも手術適応は遅くなり、小学校入学前後とする意見が多い
・ストレッチ
痛がらない程度に行う
・装具
・手術療法
🎯当院としての方針
手外科専門医や小児整形外科医へ紹介します
🎯参考文献
1.関 敦仁,【日常診療で役立つ小児整形外科の知識】上肢の疾患 強剛母指. 小児科診療. 2015.04;78(4):471-475.
2.塩澤 律, 加藤 博之, 【日常診療に必要な小児整形外科の知識-先天疾患から外傷まで-】上肢の疾患 小児のばね指. 整形・災害外科. 2012.04;55(5):499-502.