無意識の先入観(無意識のバイアス)には気をつけよう

先日、日本アレルギー学会のオンデマンド配信で、「アレルギー診療への情熱を持ち続けるために~多様化する組織の中で自分の役割を考える」というテーマでシンポジウムがありました。

その中で、無意識のバイアス (アンコンシャス・バイアス)という言葉が出てきました。無意識のバイアスとは、自分自身は意識しづらい「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」をいいます。これは自分自身にも、相手にも良くない影響を与えてしまうことがあります。

 

まずは自分自身への無意識のバイアスから

例.自分は仕事をしながら子育てをしている。学会発表や研究は無理です

→自ら自分の可能性を消去している。周囲に相談すれば良い方法があるかもしれない

 今は学会発表もオンラインという選択肢も出てきた

これは自分自身の可能性を狭めてしまいます

 

余談ですが、今回の日本小児アレルギー学会を主催した、慈恵医科大学第3付属病院小児科の勝沼俊雄先生の会長講演で、2人のお子様が13歳、5歳の時に奥様と死別し、男手1つで仕事をしながら育ててきた、という話がありました。また、部下を定時に帰す仕事術の著者の佐々木常夫さんも、会社役員の仕事をしつつ、家庭内で精神疾患で入院を繰り返していた奥さんと発達障害を持つ子ども達の対応をしていました。東京と大阪の間の出張も頻繁にあったようです。2人とも高い立場の方だからやらざるを得なかったのではないかと思うかもいしれませんが、仕事と家庭を両立を方法次第ではできる(=一般的にこの状況では無理だろうというバイアスに引っ張られなかった)という強い意志があったのだと思います。

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次に他者への無意識のバイアスについて

例.あの人(事務さん)は子どもがいるから時間外のレセプトは無理だろう

 → 事務の方ができる可能性を最初から消去している。お子様も一緒にクリニックに

  連れてくればできるかもしれない。

  最初から諦めていたら、経営者はレセプト業務に貴重な時間を費やさない

  といけないし、スタッフも時間外の収入が得られない。

例. 職員採用面接の時に。この人は○○歳か。ありえないね

 → 年齢だけで能力を決めつけている。実際は、○○歳の人が20歳代の人たちよりも

  面接の印象はずばぬけて良かった。採用後も、貴重な戦力として活躍している。

  ここで面接前にお断りしていたら、クリニックにとっても本人にとっても

  損失であっただろう 

 

対患者さんの場合

例. 今日はお父さんと受診。質問はないだろうと考え、「薬処方しておきますね」で

  外来終了(質問はありますか?と聞かなかった

  →実は、お父さんは聞きたいことがあったかもしれない・・・・

 

無意識のバイアス (アンコンシャス・バイアス)は他にも色々な種類がありそうです。

アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)とは?事例と対処法 | ダイバーシティ・女性活躍推進ならクオリア (qualia.vc)

無意識のバイアスをゼロにするのは難しいですが、まずがその存在を知り、意識しようとすることが大事なんじゃないかなぁと思います。