【学会メモ】妊婦さんは知っておこう、先天性サイトメガロウイルス感染症

今日も、学会で学んだことを共有させていただきます。

私自身メモを取らず、講演を見返すことはしていないので、記憶ミスがあったら

すみません💦

今日は、先天性サイトメガロウイルス (CMV)感染症についてです。

サイトメガロウイルスヘルペスウイルスの一種です。乳幼児期に感染すると、不顕性感染 (感染しても無症状)が多いのですが、年長児以降に感染すると、伝染性単核症といって、持続する発熱, 扁桃炎, 肝機能障害を引き起こすことがあります。一番の問題は、妊婦さんや免疫不全状態の方への感染です。胎児に感染すると、低出生体重, 小頭症, 肝炎, 聴力障害, 視力障害, てんかんなどの症状が引き起こされる危険があります。最近、妊婦さんのサイトメガロウイルスの初感染例が増加傾向のようです。妊婦さんが初感染を起こすと30~50%が胎内感染を起こします(再感染の場合は胎内感染は0.2~2%) 

理論的には毎年全出生児の0.3%, 約3,000人の先天性CMV感染児が存在するはずですが、報告数は年間800-1000人です。約80%は感染しても最初は無症候性で後に症状が出てくるので発見が難しい部分もありますが、一部が見過ごされている可能性があります。原因不明の難聴, 水頭症自閉症の一部にサイトメガロウイルスが関連しているという報告もあります。

先天性サイトメガロウイルスの症状に難聴があります。今はほとんどの新生児が聴力スクリーニング検査を実施されておりますが、そこで引っかかったら疑います。診断には

赤ちゃんの尿のCMVの核酸検出検査が有用で2018年1月より保険適応となりました。しかし、生後3週以内に実施しないといけません。それ以降の場合は、新生児ガスリー検査で使用した濾紙血や臍帯を使用し検査できますが、尿と比較すると感度は落ちます。耳鼻科に紹介してから・・・と考えていると生後3週を過ぎてしまうので早期の対応が必要です。

大きな病院なら産科→小児科と依頼がいくので大丈夫だと思いますが、産院の先生方でこのことを知らない方も少なくないかもしれません・・・

妊婦さんや産院の先生方には、新生児の聴力検査でpassしなかったら、生後3週以内に尿中CMV核酸検出検査を!は知っていただきたいなと思います。