新型コロナワクチンと心筋炎について 【第2報】

発症頻度は稀ですが、米国疾病予防管理センター(CDC)より、新型コロナワクチン (mRNAワクチン)と心筋炎・心膜炎の関連が報告されています。

急性心筋炎とは、心臓を動かしている筋肉が炎症を起こす病気です。原因としてウイルスが最も多いですが、細菌、真菌、薬物による場合もあります。原因ウイルスに感染後に、最初は喉の痛み、咳、発熱、筋肉痛、全身のだるさ、胃のむかつきなどのカゼ症状がみられ、その後、ごく一部の人が心筋炎を発症します。心筋炎としての症状は無症状のものから呼吸困難や心不全症状を伴うものまで様々です。

 

新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の特徴として、

・16歳以上の思春期・若年成人に多い

・女性<男性

・1回目の接種<2回目の接種 (CDCによると2回目接種100万人あたり約13人)

・4日以内に生じやすい

・ほとんどの症例が軽症

と言われています。

 

厚労省が発表した8/22までのデータによると、国内での発生状況は、ファイザー社製

0.6/100万回、モデルナ社製1.6/100万回となっております。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000830630.pdf

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https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000830630.pdfより改変し引用

注意) 両者の接種本数や接種した人の年齢層が異なるので、これだけでは、モデルナ社製ワクチンの方が心筋炎を起こしやすいとはいえません。

 

なお、心筋炎・心膜炎は、新型コロナワクチンよりも新型コロナウイルス感染症で生じることのほうが多いです。国内のレジストリー登録者約4万人の2021年5月31日時点のデータによると、入院例の心筋炎・心膜炎の発症率は、男性1,048/100万, 女性607/100万となっております。

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https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000830630.pdfより改変引用

では、新型コロナワクチン接種後はどういったことに気をつければよいのでしょうか?

万が一接種後に、胸痛、息切れ、心臓の動悸が接種後に見られたらすぐに受診しましょう。 ワクチン後の心筋炎は非常に稀であり、新型コロナウイルス感染症で生じることのほうが多く新型コロナウイルス感染症による心筋炎の方がワクチン後の心筋炎と比較して重症です。このことより、米国では12歳以上に対するワクチン接種を推奨する姿勢は変わっておりません。

 

わが国でも同様です。厚労省のQ&Aサイトをご参照ください。

ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省