ワクチン接種の時間帯に、院内に掲示してある舌下免疫療法について質問をいただくことが少なくないので今日は基礎的な解説をさせていただこうと思います。
舌下免疫療法とは、アレルゲンを含む薬剤を少量から投与することで体を慣らし、アレルギー症状を緩和する治療法です。国内では、スギ花粉症とダニによる通年性アレルギー性鼻炎が治療可能です。
これまで、鼻汁・鼻閉など鼻炎症状が強くなったときに、抗アレルギー薬や点鼻薬を処方されていたと思います。これらは、出ている症状をおさえる薬で、言い方が悪いとその場をしのぐための治療となります。それに対して免疫療法は、根本的な解決を目指した治療になります。
服用方法は、アレルゲンを含む治療薬を舌の下に投与し1分間保持します。
初回のみクリニックで服用し、後は自宅で続けます。順調であれば服用開始1週間後に増量します。
基本的に安全で主な副作用は、口腔内やのどのかゆみや・違和感、耳のかゆみ、軽度の腹痛などで、服用を続けるうちに、出現しなくなってきます。
ただし、注意点はいくつかあります。
1. 服用前後2時間は、激しい運動と入浴は控える
激しい運動と入浴により体内へのアレルゲンの吸収量が増加します。アナフィラキシーを起こした事例も報告されています。
2.治療効果が出るにはある程度の時間がかかります
スギ花粉症の舌下は次のシーズンに効果の出る方も少なくありません
3. 長期間 (3~5年) の治療が必要です。
できれば4年以上継続していただきたいです
服用忘れの多い場合、途中で治療を中断した場合は効果は期待できません
4.症状がゼロになるわけではありません
今の症状を10とすると2~3まで下がればいいなというイメージです。ただし、スギ花粉症の症状がゼロになる方が散見されます
5. 全員に効果が出るわけではありません (約20%は無効です)
6. 治療したアレルゲンにしか効果はありません
スギの舌下免疫療法を行ってもヒノキ花粉に効果はありませんし、ダニの舌下免疫療法を行っても犬や猫に効果はありません
7. 3~5年の治療を終了した後に、症状が再燃する事があります
ただし、治療の再開により、短期間で効果は出やすいです
当院の診療の流れは、
Visit1:舌下免疫療法の説明、アレルギー検査
Visit2:アレルギー検査の結果説明、初回用(クリニックで服用)の舌下錠を
処方
Visit3:初回服用 (約30分の経過観察)、皮膚テスト、アンケート記入
となっております。
続けていく上で、服用の継続が難しい、副作用で続けるのがつらい、など困難が生じた場合は、副院長・看護師が一緒に解決策を考えて行きます。
過去にはご相談ご相談もありました
興味のある方は気軽に声をかけてくださいね。