紫外線対策

太陽から出ている紫外線は、A波 (長波長:UVA)、B波 (中波長:UVB)、C波 (短波長:UVC) に分けられます。私達には、A波とB波の一部が当たっています。

 紫外線は、時期的には6-8月をピークに4-9月、1日のなかでは10-14時に強く、曇りでも晴天の50-80%、雨天でも20-30%が当たります。

紫外線により、皮膚で、骨の形成や維持に重要なビタミンDが作られます。一方で、紫外線は皮膚に悪い影響を与えます。1つは光老化といって、「しみ」や「しわ」が増えます。また、皮膚がんを合併しやすくなります。もう1つは「日焼け」です。日焼けとは日光が当たって皮膚が赤くなり(サンバーン)、その後黒くなる(サンタン)のことをいいます。一見、

健康的に見えますが、一時的に皮膚が障害された状態となります。

 日本人には3つ (Ⅰ~Ⅲ) のスキンタイプ (日焼けのしやすさの程度によって分けた分類) があります。日本人は、赤くなり、その後黒くなるタイプⅡが最も多いです。また、赤くなり色がつきにくい人をタイプⅠ、赤くなりにくく、色がつきやすく落ちにくい人をタイプⅢといいます。特にタイプⅠの人は、皮膚がんになるリスクが高く注意が必要です。

 日焼けの予防は子どもの頃から始める必要があります。1) 紫外線の強い時間を避ける、2)帽子・長袖・長ズボンを着用する、3) 紫外線防止クリームが主な対策です。1)や2)の対策により、紫外線を50%ほど防御できます。

 紫外線防止クリームは、紫外線吸収剤 (有機系防止剤)と紫外線散乱剤 (無機系防止剤:

酸化チタン、酸化亜鉛) に分けられます。前者は色がつかず使用しやすいが、接触性皮膚炎をおこす可能性があります。後者は白っぽさが塗布直後に目立ちますが、皮膚が敏感な人や子供にも使用できます。

 紫外線防御の指標として、SPF値とPA分類 (+~+++)があります。SPFはUVBによる紅斑をどれだけ防ぐかを示し、数字が高いほど効果があります。PA分類はUVAによる色素沈着 (皮膚の色が黒ずむ反応)をどれだけ防ぐかを示し、+が多いほど高い効果があります。

クリームの選び方は、用途により選びます。日常の散歩や外出時はSPF10-20、山歩きや海水浴などの時は30-50を選びます。また、日常用は低刺激性のものや紫外線吸収剤フリーのものを推奨します。なお、前述のスキンタイプⅠの人はSPFが高いものを選ぶ必要があります。塗り方のポイントとしては、1) たっぷりの量を均一に伸ばす (顔面では、クリームは真珠2個の大きさ、ローションでは1円玉2個の大きさ) 、2) 2~3時間ごとに塗り直す、の2点が挙げられます。

 学校や園では、紫外線防止クリームは、SPF15以上、PA++以上を目安とし、無香料および無着色の表示があるものに制限するとよいでしょう。プールは最も肌を露出することから、紫外線の影響を受けやすく注意が必要です。紫外線の強い時間を避ける、プールサイドにテントを用意する、泳ぐ時にラッシュガードを着用する、などが対策としてあげられます。紫外線防止クリームは水質汚濁が懸念されておりますが、使用しても問題ないことが複数の研究で明らかにされておりますので、耐水性のクリームを塗る時間・場所を決めるなど上手に使いましょう。

日焼けをしてしまった場合は、水道水で濡らしたタオルなどで冷やすことが重要です。軽い日焼けであればこれで赤みがひきますが、翌日も皮膚の赤みが強い場合は皮膚科を受診させましょう。