新型コロナワクチン接種後の死亡例についての考え方 【第2報】

前回は、厚労省が発表した5/30までのデータをもとにお話させていただきました。

今日は7月11日までのデータを共有したいと思います。

期間の延長とモデルな社製ワクチンの追加が前回からの変更点になります。

000809338.pdf (mhlw.go.jp)

 前回記事は 

 

teammanabe.hatenablog.com

 

ポイントは、

新型コロナワクチン 接種後の死亡例は、ファイザー社製が、18.3人/100万人、11.3回/100万回。モデルな社製が2.8人/100万人、2.2回/100万回

・その中には、ワクチンとは関係ないケースも含まれます

・ワクチン接種のメリット・デメリットと感染のリスクを考え判断しましょう

 

まずは、前回からの繰り返しになりますが、ワクチン接種後の副反応の考え方からお話しします。

f:id:teammanabe:20210708052126p:plain


ワクチン接種後に起こったことは、ワクチンと関連なく偶然起こったことも含めて、

副反応疑いとして報告する仕組みになっております。これは見落としのないように、と考えると当然のことと思います。

 

これまで国内で2/17~7/11までに報告された死亡例ですが ファーザー社製を接種後に死亡した例は663例で、その頻度としては、18.3人/100万人、11.3回/100万回、になります。そのうち、65歳以上621例、65歳未満38例 (4例は不明)で、死亡原因の上位3つは、心不全73例、虚血性心疾患67例、肺炎53例と報告されています。いずれも現時点では、死亡関係との因果関係はなしあるいは情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの、とされています。

モデルな社製は5/22~7/11までの期間に接種後の死亡例は4例報告されています。その頻度は、2.8人/100万人、2.2回/100万回です。

f:id:teammanabe:20210726050403j:plain

注意) 接種本数ならびに接種期間が大きく異なるので、モデルナ社製ワクチンの方が死亡例が少ないとは言えません。

 

もともと、65歳以上の人口約3,600万に対し、2019年度は、約26,000人 (約1,384人に1人)の方が出血性脳卒中でなくなっております。また、高齢者の方は原因にかかわらず、1日あたり約3,650人に1人が救急搬送されていますし、1日あたり約10,600人に1人が亡くなっております。つまり、ワクチンの影響で起こっている可能性もあればワクチンとは関係なく偶発的に起こっている可能性がある (=少なくともワクチンが関与した死亡例はさらに少ない)というこです。

 

私達にできることは、接種によるメリット・デメリットと感染によるデメリットを考えて判断することです。私の場合は、医療従事者という立場と同時に、変異株である英国株やインド株が若い人でも重症化するリスクがある、軽症でも脱毛や嗅覚・味覚障害など後遺症がしばらく続くということより接種を選択しております(嗅覚は診療にとても重要です)接種後もマスクや手洗いなどの感染対策は必須ですが、自分が感染し、それを患者さんに拡大するリスクが大幅に軽減し、精神的なプレッシャーがだいぶ少なくなりました。

 

引き続き、皆様の判断の一助となるよう、常に新しい情報を発信していきたいと思います。