発症頻度は稀ですが、米国疾病予防管理センター(CDC)より、新型コロナワクチン (mRNAワクチン)と心筋炎の関連が報告されています。今日は、ワクチン接種後の心筋炎について取り上げたいと思います。
急性心筋炎とは、心臓を動かしている筋肉が炎症を起こす病気です。原因としてウイルスが最も多いですが、細菌、真菌、薬物による場合もあります。原因ウイルスに感染後に、最初は喉の痛み、咳、発熱、筋肉痛、全身のだるさ、胃のむかつきなどのカゼ症状がみられ、その後、ごく一部の人が心筋炎を発症します。心筋炎としての症状は無症状のものから呼吸困難や心不全症状を伴うものまで様々です。
厚労省が発表した5/30までのデータによると、
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000791617.pdf
新型コロナワクチン接種後の心筋炎の頻度は、100万回接種あたり日本では0.6件、米国では2.4件、英国では1.1件と報告されています。
特徴として、
・16歳以上の思春期・若年成人に多い
・女性<男性
・1回目の接種<2回目の接種 (CDCによると2回目接種100万人あたり約13人)
・4日内に生じやすい
・ほとんどの症例が軽症
CDCが323例について経過を調べたところ、309例が入院したものの295例がすでに退院、218例(79%)が症状から回復しています。
万が一接種後に、胸痛、息切れ、心臓の動悸が接種後に見られたらすぐに受診しましょう。
ワクチン後の心筋炎は非常に稀であり、新型コロナウイルス感染症で生じることのほうが多いことが知られています。それに、新型コロナウイルス感染症による心筋炎の方がワクチン後の心筋炎と比較して重症です。
以上より、米国では12歳以上に対するワクチン接種を推奨する姿勢は変わっておりません。